コメント
2件
最高すぎる🥰
「湊さ……うわぁ!」
突然彼にベッドに引き寄せられた。
「もう少しだけ寝かして……?」
だからと言って、なんでこんなに密着しなきゃいけないの!?
「わかりましたから!湊さん、離して……」
「ダメ」
うーん、どうしたらいいかな。
料理が冷めてしまうが、もう少し彼を寝かせてもあげたい。
でも甘やかしてもいけない気がする。
「湊さん、料理冷めちゃいますし、一緒にプリン食べましょう?」
「ん……。食べる」
まさかのこんな一言で彼は起き上がった。
目を擦っている。
本当に甘い物が好きなんだ。
「うまそー!」
目が覚めたのか、私が作った料理を見てご機嫌な彼。
「いただきます」
手を合わせて、お味噌汁を彼は一口飲んだ。
料理は得意だと言ってしまった手前、口に合うのかどうか心配だ。
私は彼が料理を口にしてからの反応を待つ。
「あの。揚げたてなので、熱いかも……」
「熱っ!」
先に注意をしておけば良かった。
「湊さん、お水!」
私は水を差しだしたが、いらないと彼は手を振り、口に入っていた唐揚げを全て飲み込んだ。
口の中、火傷していないだろうか。
「お前!」
熱かったことに対しての苦情や味に対しての苦情だと思い、私の身体がビクっと反応した。
「はい、ごめんな……」
「本当に料理上手だな!」
てっきりクレームが入ると思っていたので、ホッとする。
「それは良かったです」
「外食とかでしか揚げたて食べたことない。家でこんなに美味い唐揚げを食べられると思っていなかった。あと味噌汁も美味いし、味付けもちょうど良い」
「これから毎日食べれると思うと、嬉しい」
なぜだろう、彼のそんな言葉にドキッとしてしまった。
そうか。これから毎日湊さんと一緒の生活なんだ。
「喜んでもらえて良かったです。正直、安心しました」
彼はご飯のおかわりまでしてくれた。
「デザートはすぐ食べますか?」
「食べる!」
私は二つプリンを準備した。
彼の前に二つ並べる。
「一つはお前のだろ?」
一つは私の前に返された。
一口プリンを食べた彼は
「美味い!」
美味しそうに食べていた。
私も一口食べる。
「美味しい!」
甘い物を食べるの久しぶりだ。
私の表情を見て、彼が微笑んでくれた。
そんなに優しい顔もしてくれるんだ。
「ほら、俺の一口あげる」
「へっ?」
スプーンに乗せられたプリンを目の前に出された。
これはいわゆる、あーんの状態。
「早く食べろ」
これって、湊さんが使ってるスプーンじゃないか。
そう心の中で思ったが、強制的な彼の姿勢に抵抗することはできず、パクっと一口食べた。
「美味しい……」
「だろ?」
彼は何も感じないの?
「俺も食べたい」
「ああ、すみません。これ……」
私の食べかけのプリンを彼に渡そうとしたが
「えっ?」
彼が口を開けている。
「食わせろ」
と当たり前のように一言。
これも仕事のうち、仕事、仕事。
そう自分の中で何度も繰り返し、私のプリンをスプーンの上に乗せ、彼の口の中へ入れた。
彼はそれを抵抗もなくパクっと食べた。
「美味い!」
ふうと胸をなでおろす。
「両方美味いな!」
子どものように笑う彼、想像していた彼とは全然違うが、なぜか憎めない。
「おいしいですね」
ついつい私も笑顔になってしまう。
彼は家事については何もしないことを想定していたが、食べたものは流しに運んでくれた。
あとは別々の時間。
私は洗い物、洗濯物、お風呂掃除をする。
お風呂も広かった。
そして
「湊さん、お風呂、ジャグジー付いてるんですね!すごい!有名人のお風呂みたい!」
ジャグジー付きだった。
「一応、俺、有名人なんだけど……」
余計な一言で彼を怒らせてしまった。
「湊さんはいつもシャワーなんですか?お風呂溜めるんですか?」
「気分によってだけど……。今日は風呂溜めて?お前、ジャグジー使いたいんだろ?」
贅沢……してもいいのだろうか。
お風呂を溜めて、湊さんを呼びに行った。
先に入れと言われたが、私は家政婦、ご主人様よりも先に入るわけにはいかない。
私の一向に引かない態度を見て
「わかった、先に入ってくる」
彼も諦めてくれた。
彼がお風呂に入ってしばらく、着替えとかタオルとか準備していったのだろうか?
そんなことが頭をよぎった。
「お前の仕事だろう?」
彼ならお風呂からあがった時に、全裸で私を呼びかねない。
「湊さん?着替えとか……?」
お風呂場の前で声をかけようとした。
しかし
「もう二度と叶わない……」
彼がお風呂の中で鼻歌を交えながら、自分の曲を歌っていたのが聞こえてきた。
普段話す時とは違う、声音。
ずっとずっと憧れてきた人が本当に近くにいる、そして生歌が聴けた。
彼の歌をワンフレーズ聴いただけで、涙が溢れた。こんな幸せなことはない。
私はその場に座り込んでしまった。
「どうした!?何があった?」
お風呂から出てきた彼は、廊下で座り込み泣いている私に驚いている。
彼もしゃがんで私の目線に合わせてくれる。
「湊さんの……歌が聞こえてきて……感動しちゃって……」
「はっ?そんなことで泣いてんのか?」
「そんなこと……じゃないです。ずっと憧れて……。毎日聴いてて……。私の目標の人だから……」
彼はふっと笑い
「お前、俺のこと、大好きなんだな」
そう呟いた。
「湊さんの歌……曲が好きなんです……」
彼自身を好きだと思われても困るため、さりげなく否定した。