【無能力者名】来見坂みるく
《備考》発明の天才。
【以下、細菌達の記録】
黒尾場じゃんねは、SNSで天才児来見坂みるくきゅんとやりとりをし、待ち合わせ場所である米津町の山にあるみるくきゅんの秘密基地に来ていた。
「あ、おじさんはじめまして!!ぼく、来見坂みるくです!!こっちは友達の鳩々大乱闘ちゃんです!!」
みるくきゅんはそう言ってにぱーっと天使のような笑顔で笑った。
みるくきゅんの首には 去年貰ったノーベル賞のピカピカのメダルが 掲げてあった。
じゃんねの隣にはリコーダーを持った小学生の女の子がいた。彼女はゴミを見る目でじゃんねを見つめていた。
じゃんねは小学生達にとって高校生がおじさんであることに軽くショックを受けながら
挨拶をした。
「あ、ああはじめまして。ぼくは黒尾場じゃんね。よろしくじゃんね。」
そう言ってじゃんねがみるくきゅんに握手しようとしたその時、鳩々大乱闘がピーッとリコーダーを吹いた。
突然鳩の大群が勢い良くじゃんねに
襲いかかった。
「わっ!!???何するじゃんね!!???やめるじゃんね!!!!頭をつつくなじゃんねぇぇぇ!!!」
じゃんねは軽く20羽はいる鳩の群れにつつかれ蹴られボコボコにされた。
「あー、だめだよ大乱闘ちゃん。知らない
おじさんをいじめちゃー。」
みるくきゅんは大乱闘ちゃんにそう言った。
大乱闘ちゃんはピッとリコーダーを鳴らし
鳩を解散させた。
「この人、悪い大人の目をしてる。」
ジト目で大乱闘ちゃんは言った。
大乱闘ちゃんの肩には赤いスカーフをした鳩と青いスカーフをした鳩がいた。
鳩達はものすごい殺気を放ちながらじゃんねを睨み付けていた。
(こ…….殺される……!!!言葉を間違えれば
殺される…….!!!)
じゃんねは死への恐怖で汗がダラダラであった。
「おじさん、ぼくの《くるみ☆ぽんちお》が
ほしいんでしょ?あげたいけどお母さん達が
知らない人にバクダンあげちゃダメって言うんだ。だからごめんねー。」
みるくきゅんは申し訳なさそうにそう 言った。
「もちろんただとは言わないじゃんねぇ…..
。この……レアカードをやるじゃんねぇ…….。」
ボロボロのじゃんねは小さなリュックから
一枚40000円はする《紙版バカバカラ》
激レアカード《ブラッキィオザウルス》の
シークレット版を取り出した。
じゃんねはみるくきゅんが最近《紙版バカバカラ》にはまってるのは、SNSでリサーチ済みであった。
みるくきゅんは目を輝かせた。
じゃんねの持ってきたカードが激レアカード…..だからではなかった。
「すっごーーい!!!!これ、偽物だよね!!虫眼鏡でしっかりと観察しないと分からないぐらい精巧な偽物!!! どうやって作ったの!!??」
じゃんねはみるくきゅんの洞察力に驚いた。
そしてじゃんねは少し悩み、正直に白状することにした。
「僕の知り合いの無能力者に作らせたじゃんね。そいつは能力で贋札を作ろうとしたのをロカ先生にバレて能力を破壊されたクズじゃんね。それからあいつは能力なしでおよそ
一ヶ月かけてこの贋札を作ったじゃんね。」
この国では贋札作りはとてつもない大罪である。
ロカ先生に能力をへし折られなければ
じゃんねの知り合いは牢屋に入れられるか
どろりに《メルト》されていただろう。
しかしじゃんねの知り合いは全く懲りていなかった。
贋札を作るのが駄目なら今売れてるカードの偽物を作れば儲かるのではと考えたのだ。
無能力者の贋作師は今売れているカードを
研究し、およそ一ヶ月もの長い時間をかけて
かぎりなく本物に近い偽物のカードを偽造したのだった。
当然、これも立派な犯罪行為である。
しかしみるくきゅんはその余りにも精巧な
贋札に感動した 。
彼の知的好奇心は、倫理観よりも感動を優先した。
「そのカード、くわしく分析させて!!そして
そのカードを作った人とも話してみたいな!!!」
みるくきゅんは目をきらきらさせながら言った。
「ダメ、この男達は危険。みるくの発明を
悪用するつもり。」
大乱闘ちゃんはそう言ってリコーダーで
鳩に号令をかけ、じゃんねを鳥葬しようとした。
「待つじゃんね!!!!!た……たしかに僕や僕の知り合いは皆カスの悪党じゃんね!!!!救いようのないクズじゃんね!!!!!でもみるくきゅんの発明はロカ先生を倒すためだけに使うじゃんね!!!!絶対に悪用したり転売したりしないじゃんね!!!!」
小学生達に土下座をしながらじゃんねは言った。
「悪党の言うことなんて信じられない。」
大乱闘ちゃんはクズを見る目でじゃんねを
見た。鳩達の大群がわらわらと集まってきた。
「どうしてじゃんねおじさんはロカ先生を
倒したいの?」
みるくきゅんは興味本位でじゃんねに聞いた。
「僕は…..僕達は……あいつに….ロカ先生に
…..僕らの能力を、願いを……夢を壊されたじゃんね…..!!!もちろん僕達が救いようのないクズなことぐらい百も承知じゃんね!!でもッッ!!!!!このままじゃ僕らは負け犬のまま、一生惨めな気持ちで生き続けなきゃならないじゃんね!!!!これはケジメじゃんね!!!!ロカ先生に勝って僕達は僕達の尊厳を取り戻すじゃんね!!!!!」
じゃんねの言うことは何一つ正統性のない
クズの戯言である。
耳を傾ける必要などどこにもない妄言であった。
故に大乱闘ちゃんはじゃんねを鳥葬しようとした。
だがみるくきゅんは大乱闘ちゃんを止めながら言った。
「パパが言ってたよ。失敗は成功の母だって。失敗したって何度でもやり直したらいいって。だからボクはじゃんねおじさん達を応援するよ。もちろん悪いことをするのはダメだけど僕のバクダンをちょっと弄くって体育祭の時にしか使用できないようにすればきっと大丈夫だよ。」
そう言ってみるくきゅんはじゃんねに手を差しのべた。
「ありがとうじゃんね……。」
ボロボロのじゃんねはみるくきゅんの手を取った。
こうして商談が成立し、《クローバー同盟》は対ロカ先生用の武器、《くるみ☆ぽんちお》を手に入れることに成功した。
「あ、そうだみるくきゅん。このバクダンってくるみじゃないと作れないじゃんね?」
じゃんねはみるくきゅんに聞いた。
「いや?穀物なら大体なんでもいけるよ?」
みるくきゅんはそう言って少し首を傾げた。
「ポップコーンを《くるみ☆ぽんちお》に変えることは可能じゃんね?」
じゃんねには秘策があった。悪鬼退治でロカ先生に絶対に負けないためのとっておきの秘策が。
じゃんねと転々ちゃん率いる《クローバー同盟》の 暗躍はまだまだ続く。
(最後まで読んでくださりありがとうございます。)
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