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深夜3時半。
市川市の住宅街は静まり返っていた。だが、その闇の中を、白い影が疾走していた。
メイリン──人間の遺伝子と融合した特異な存在は、パンダ舎から逃げ出し、今は自由を求めて街をさまよっている。
山科と日下部は、動物園からの連絡を受け、急いで現場へ向かっていた。
「メイリンはもはや“動物”じゃない。
彼女の動きは人間のように俊敏で、知恵もある」
山科が言った。
住宅街の路地裏で、二人は白い毛皮のかたまりを見つけた。
「追い詰めるなよ、彼女も必死なんだ」
日下部は声を落とした。
しかし、その時、背後から黒川博士の手下たちが現れ、メイリンを取り囲んだ。
「捕まえろ!」と指示が飛ぶ。
メイリンは絶体絶命の中、狭い路地を駆け抜け、行徳橋へ向かった。
川面に映る影は、一瞬、人間のように立ち上がり、そして……
――跳躍した。
次回:第9話「メイリンの意志」
人間と動物の境界を超えた存在、メイリンが語る本当の願いとは?