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フラン視点
フランは、レミリアの妹。
数百年もの間、地下に閉じ込められていた。
人間が怖がったから?
吸血鬼だから?
それとも、壊す力を持っているから?
「ねえ、お姉様。私って、壊れてるの?」
「ねえ、魔理沙。どうしてまた会いに来てくれたの?」
「ねえ、咲夜。プリン、まだある?」
閉じ込められていたはずの地下から、
いつの間にか“外”に出られるようになっていた。
皆と遊べるようになった。
毎日が、楽しくなった。
それが、とてもとても嬉しかった――
だから、怖くなかった。
異変で、死んだ人たちが“戻ってきた”。
霊夢も、咲夜も、早苗も、また笑ってた。
魔理沙も「いつも通りの魔理沙」だった。
でも、フランだけは、気付いてた。
「誰も、私の目をまっすぐ見ない」
それは、かつての“恐れ”とは違った。
まるで――
「今にも消えそうな夢」を見ているみたいな、目だった。
「咲夜、プリン食べたい……」
「魔理沙、また箒に乗せて……」
「霊夢、弾幕ごっこしようよ……」
「どうして、みんな……いなくなっちゃうの……?」
「私を一人にしないって、言ったのに……」
フランは吸血鬼。
何百年でも生きられる。
だけど――
“皆と一緒に過ごした時間”は、たった数年だった。
数年の幸せを、数百年かけて思い出す地獄。
それが、彼女の“今”だった。
「これじゃ、地下にいた頃と同じだよ……」
「誰も来ない。誰も帰ってこない。誰も名前を呼んでくれない……」
「お姉様、私……やっぱり壊れてたのかな」
「でも、壊れないようにしてたんだよ。皆のこと、大好きだったから」
フランの力は「壊す」こと。
でも、壊せなかった。
思い出だけは。
それだけは、永遠に心の中で、生き続けてしまう。
皆が消えても、フランは生き続ける。
それが、最大の地獄だった。
普通の人間なら「喪失」も「寿命」も一瞬で終わる。
でも、フランには永遠がある。
だから、悲しみもずっと終わらない。
「ねえ、お姉様。私も、いらないのかな……」