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『衆議院の解散が近い』という噂がある。
衆議院が解散すると、解散日から40日以内に『衆議院議員選挙』が行われる。
議員にとって、最も大切で重要な期間だ。
「そろそろ地元に戻るか」
信也は選挙に向けて準備を始めた。
妻に不倫されても慰謝料を請求せず、懐が深い人格を見せた。
応援の言葉が多く集まり、地元での人気は落ちてない。
女性有権者からは「可哀想に」「辛かったでしょ」と支持率が上がった。
地元で行う『伊崎信也君を励ます会』は、後援会を中心に、支持者、有権者など千人近くが参加する予定だ。
地元の県議会議員や市議会議員も激励に駆け付ける。
離婚後初の〈政治資金パーティー〉は、マスコミも注目するだろう。
ここで雄弁に語り、リーダーシップを見せれば、票固めができる。
「有力な対立候補が出馬する」という噂があるが、大丈夫だ。
3期目も圧勝すれば『入閣』も夢ではない。
「大臣か……」
議員会館でニヤリと笑う信也は、自信に満ち溢れていた。
その頃、
城址公園の潜窟では、紗姫、伊織、珊瑚が集まっていた。
「え? 政治資金パーティーって、禁止になったんじゃないの?」
不思議そうに尋ねる珊瑚に、紗姫が答えた。
「自粛する人もいるけど、法律で認められてるし、続いてるわ」
伊織は、スマホでホテルのHPを検索している。
画面をスクロールさせて〈採用情報〉をクリックした。
「会場のホテルは、姫が結婚式を挙げた場所ですね」
豪華で盛大な式だった。
まさか5年後に離婚して、同じ会場で【復讐】するとは……。
でも、千載一遇のチャンスだ。選挙が信也を地元に帰らせた。
この機会を逃さない。
身の潔白を証明し、信也の不倫と不正を暴いて、秘書の無念を晴らしてみせる。
「では、私も東京に行ってきます」
伊織が立ち上がった。
勝つためには、確かな証拠が必要だ。それは東京にある。
「おみやげ、お願いね」
ピースする珊瑚の頭をポカリと叩いて、伊織は潜窟を出た。
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