テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
こりん
3,768
6,641
#brfr
suzu🎲⭐️🎼⏳🪽🎺
232
✦ ─────── ✦
風邪を引いたあの日から、数週間が過ぎた。
こさめはいつも通り大学へ通い。
いつも通り笑い。
いつも通りいるまの隣にいた。
だけど。
心だけは少しずつ限界に近付いていた。
❤️「最近無理してねぇ?」
昼休み。
なつがぽつりと呟く。
🩵「してないよ〜?」
🩷「してる顔なんだよなぁ」
🩵「ひど〜い」
笑う。
だけど二人は笑わなかった。
❤️「諦めるのか?」
🩵「……」
🩷「こさめ」
少しだけ沈黙する。
そして。
🩵「分かんない」
それが本音だった。
◌ ───── ◌
金曜日。
授業終わり。
❤️「飲み行かね?」
💜「またか」
🩷「いいじゃん」
🩵「行く〜」
久しぶりの飲み会だった。
四人で集まるのは好きだった。
いるまと一緒にいられるから。
だからこそ苦しかった。
◌ ───── ◌
居酒屋。
料理が並び。
酒が運ばれてくる。
最初はいつも通りだった。
大学の話。
バイトの話。
ゲームの話。
くだらないことで笑う。
けれど。
気付けばこさめのグラスだけが何度も空になっていた。
❤️「お前ペース早くね?」
🩵「そう〜?」
🩷「飲みすぎじゃない?」
🩵「今日だけ〜」
そう言って笑う。
いるまは少し眉をひそめた。
💜「明日死ぬぞ」
🩵「その時は介抱して〜」
💜「嫌だ」
🩵「ひど〜い」
そう言いながら。
またグラスを空けた。
◌ ───── ◌
数時間後。
なつとらんは終電の時間を気にし始めていた。
❤️「俺らそろそろ行くわ」
🩷「ごめんね〜」
💜「おう」
🩵「ばいば〜い」
手を振る。
気付けば店には二人だけが残っていた。
💜「お前まだ飲むのか」
🩵「もうちょっと〜」
💜「ほどほどにしろよ」
🩵「いるまくんも付き合って〜」
💜「なんで」
🩵「お願い〜」
💜「一杯だけな」
そう言ってグラスを手に取る。
それが良くなかった。
◌ ───── ◌
店を出る頃には。
二人ともかなり酔っていた。
夜風が頬に当たる。
🩵「さむ〜い」
💜「酔っ払い」
🩵「いるまくんもでしょ〜」
💜「否定できん」
珍しく素直だった。
二人で並んで歩く。
昔から変わらない距離。
けれど。
こさめの中では何も変わっていなかった。
好きだった。
ずっと。
ずっと。
◌ ───── ◌
💜「そういや」
🩵「ん〜?」
💜「最近変だよな」
心臓が跳ねた。
🩵「そうかな〜」
💜「避けてただろ」
🩵「避けてないよ〜」
💜「避けてた」
酔っているせいか。
いつもより真っ直ぐだった。
💜「なんかしたか?」
🩵「してないよ〜」
💜「じゃあなんで」
🩵「……」
答えられない。
言えるわけがない。
💜「こさ」
🩵「……」
💜「なんでだよ」
その言葉が。
苦しかった。
◌ ───── ◌
🩵「だってさ〜」
ぽつりと呟く。
💜「うん」
🩵「ずっと一緒なんて無理じゃん」
💜「なんで」
🩵「無理なものは無理だよ〜」
💜「意味分かんねぇ」
🩵「分かんなくていいよ〜」
笑う。
だけど。
少しだけ泣きそうだった。
💜「こさ」
🩵「ん〜?」
💜「お前今日変だぞ」
🩵「今日だけじゃないかも〜」
💜「は?」
🩵「疲れちゃった」
その言葉に。
いるまは何も返せなかった。
◌ ───── ◌
気付けば。
二人はいるまの部屋にいた。
どうやって帰ったのか。
正直よく覚えていない。
酒が回っていた。
頭がぼんやりする。
ソファに並んで座る。
テレビだけが静かに流れていた。
🩵「ねぇ」
💜「ん?」
🩵「いるまくん」
💜「なんだ」
🩵「優しいよね〜」
💜「普通だろ」
🩵「それがだめなんだよ〜」
💜「意味分かんねぇ」
🩵「だよね〜」
小さく笑う。
そして俯いた。
💜「……」
💜「泣いてる?」
🩵「泣いてないよ〜」
泣いていた。
少なくともいるまにはそう見えた。
胸がざわつく。
理由は分からない。
ただ。
その顔を見たくなかった。
◌ ───── ◌
💜「こさ」
呼ばれる。
顔を上げる。
近かった。
思っていたよりずっと。
🩵「いるまくん……?」
💜「……」
言葉はなかった。
ただ。
頬に触れた手が熱い。
酒のせいだ。
きっと。
🩵「だめだよ〜……」
そう言ったのに。
離れなかった。
離れられなかった。
💜「……」
抱き寄せられる。
胸の奥が痛かった。
好きだから。
ずっと好きだったから。
たった一度でも。
欲しいと思ってしまった。
🩵「いるまくん……」
掠れた声が漏れる。
優しい手だった。
苦しくなるくらい。
優しかった。
◌ ───── ◌
夜は静かだった。
名前を呼ばれるたび。
胸が締め付けられた。
夢みたいだった。
ずっと欲しかったものが。
手の届く場所にある。
それなのに。
明日になれば終わることも分かっていた。
🩵(だめなのに)
🩵(好きだよ……)
何度も心の中で呟く。
返事なんていらなかった。
この気持ちは。
ずっと前から。
自分だけのものだったから。
✦
その夜。
二人の関係は変わった。
けれど。
それを知っているのは。
こさめだけだった。
✦
コメント
1件
あいさん、第30話読みました……。こさめの「ずっと一緒なんて無理じゃん」って言葉、すごく胸に刺さりました。好きだからこそ、距離を感じてしまう切なさが本当に伝わってきます。酔った勢いで変わってしまった夜、でもそれを知ってるのはこさめだけっていうラストが切なくて……。あいさんの心理描写、いつも繊細で素敵です。続きが気になります🩵