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こりん
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#brfr
suzu🎲⭐️🎼⏳🪽🎺
232
✦ ─────── ✦
頭が痛かった。
ひどい二日酔いだった。
💜「っ……」
重たい瞼をゆっくり開ける。
見慣れた天井。
見慣れた部屋。
そこまではよかった。
問題は。
隣だった。
💜「……は?」
思考が止まる。
ベッドの隣。
こさめが眠っていた。
静かな寝息を立てながら。
💜「なんで……?」
状況を整理しようとする。
飲みに行った。
なつとらんが帰った。
こさめと二人になった。
そこまでは覚えている。
けれど。
その先がない。
💜「マジで覚えてねぇ……」
頭を抱える。
記憶が綺麗に途切れていた。
◌ ───── ◌
その時。
🩵「ん〜……」
こさめが目を覚ました。
ゆっくりと瞼を開き。
いるまと目が合う。
💜「おはよ」
🩵「おはよ〜」
いつも通りだった。
あまりにも。
いつも通りだった。
だから余計に不安になる。
💜「なぁ」
🩵「ん〜?」
💜「昨日何あった?」
その瞬間。
こさめの表情がほんの少しだけ止まった。
本当に一瞬。
けれど。
すぐにいつもの笑顔になる。
🩵「覚えてないの〜?」
💜「全然」
即答だった。
🩵「……そっか〜」
小さな声。
笑っているのに。
どこか寂しそうだった。
◌ ───── ◌
こさめは全部覚えていた。
抱き締められたことも。
名前を呼ばれたことも。
優しく髪を撫でられたことも。
近くで聞こえた心音も。
触れた体温も。
あの時の表情も。
全部。
全部。
覚えていた。
夢じゃなかった。
確かに存在した夜だった。
それなのに。
💜「全然」
その一言で。
全部なかったことになってしまった気がした。
🩵(覚えてないんだ)
🩵(そっかぁ……)
少しだけ期待していた。
もしかしたら。
何か変わるかもしれないと。
でも。
そんなことはなかった。
◌ ───── ◌
💜「俺なんかやらかした?」
🩵「別に〜」
💜「ほんとか?」
🩵「ほんとほんと〜」
💜「ならいいけど」
🩵「うん〜」
こさめは笑う。
いつも通りに。
何事もなかったみたいに。
いるまは安心したように息を吐いた。
その姿を見て。
少しだけ泣きたくなった。
◌ ───── ◌
💜「頭いてぇ……」
🩵「飲みすぎだよ〜」
💜「お前もだろ」
🩵「そうかも〜」
💜「なつたち絶対笑うぞ」
🩵「あはは〜」
会話は続く。
いつも通り。
本当にいつも通り。
何も変わらない。
まるで昨夜なんてなかったみたいに。
◌ ───── ◌
しばらくして。
いるまはシャワーを浴びに行った。
浴室のドアが閉まる音が響く。
部屋に一人残されたこさめは静かに俯いた。
🩵「……」
昨夜の痕跡は残っていない。
全部片付けた。
全部。
自分で。
いるまが気付かないように。
何も残らないように。
🩵(これでいいんだよ〜)
何度も自分に言い聞かせる。
だって。
困らせたくないから。
◌ ───── ◌
シャワーから出てきたいるまは、冷蔵庫から水を取り出した。
💜「生き返る……」
🩵「大袈裟〜」
💜「二日酔い舐めんな」
🩵「自業自得だよ〜」
💜「それはそう」
思わず二人で笑う。
その時間が愛しかった。
だから。
余計に苦しかった。
◌ ───── ◌
帰る準備をしている時だった。
💜「送るか?」
🩵「大丈夫だよ〜」
💜「ほんとか?」
🩵「ほんと〜」
💜「ならいいけど」
玄関まで並んで歩く。
昔から何度も繰り返してきた光景。
けれど。
今日は少しだけ違った。
🩵「じゃあね〜」
💜「おう」
いつも通り。
本当に。
いつも通り。
◌ ───── ◌
帰り道。
空はよく晴れていた。
昨日の雨が嘘みたいだった。
人通りの少ない道を歩きながら。
こさめは空を見上げる。
🩵「……」
涙は出なかった。
代わりに。
胸の奥が静かに痛んだ。
💜「全然」
あの言葉だけが何度も頭の中で繰り返される。
覚えていない。
何も。
ひとつも。
🩵「そっかぁ……」
小さく笑う。
そして前を向いた。
✦
夢みたいな夜だった。
だからこそ。
朝は残酷だった。
✦
コメント
2件
あなたは神ですか? いえ、疑問形は失礼でした。あなたは神です。 このお話めちゃくちゃ好きです! 続きめっちゃ楽しみにして待ってます!!
ひえっ…今のエピソード、切なすぎて胸がぎゅーってなったよ😭💔 いるまが「覚えてない」って言ったときのこさめの表情、想像しただけで泣ける…。 あの夜のことをぜんぶ覚えてて、でも「なかったこと」にして笑顔でいるこさめの気持ちを思うともう、いたたまれないよ…。 「夢みたいな夜だった、だから朝は残酷だった」って一文、エモすぎてズルい〜!! 29. ってタイトルも何か伏線っぽくて気になる…続きが待ちきれないよ🌸 あいさん、この切なさの描写、めちゃくちゃ刺さりました…!