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昨日の放課後、陽翔とダイキが同じタイミングで私に近づいてきた。それぞれの思いを感じたけど、私はどっちの気持ちにも答えられなかった。二人とも私のことを大切に思ってくれている。でも、そのことが逆に私を迷わせている。
今朝も、心の中がモヤモヤしていた。リリカが言った通り、迷っていると、二人とも遠くに行っちゃうかもしれない。だけど、どちらを選べばいいのか、わからない。私にとって、陽翔もダイキも特別な存在だから…。
今日も学校で、二人とはすれ違うばかりだった。陽翔と目が合ったけれど、何も言えなかったし、ダイキと話すこともなかった。心の中でずっと、あれこれと考えているけれど、頭の中が混乱するばかり。
そんな時、放課後の教室に入ると、リリカが座っているのが見えた。私が席に着くと、彼女はすぐに私を見て、にやりと笑った。
「ヒメ、今、すごく悩んでる顔してるよ」
リリカが指摘してきた。私は息をつきながら言った。
「うん、悩んでる。陽翔とダイキ、どっちも大事で、どっちの気持ちにも答えられない。でも、気づいたら、二人とも少しずつ離れていってるような気がして…」
「そっか。だいぶ気づくの遅かったね」
リリカは、わざとらしくため息をついてみせた。
「だって…、だってさ、急すぎるよ!どうしてこんなことになるの?」
私は思わず声を大きくしてしまった。
「だから言ったでしょ?ヒメ、悩んでる間にどっちかが先に行っちゃうって。でも、気づいてる?ヒメの心が二人に引っ張られてる限り、どっちも進めないんだよ」
リリカは冷静に言った。
私は黙ってリリカの言葉を受け入れた。確かに、私が決められなければ、二人とも先に進んでしまう。そう考えると、胸が痛んだ。
その後、私は少し外の空気を吸いたくなって、校庭を歩いていた。頭の中では、陽翔とダイキの顔が交互に浮かぶ。どちらも素晴らしい人だと思う。どちらも私に優しくしてくれるけど、それ以上に、私自身がどう思っているのかがわからない。
そんな時だった。校庭の隅に、陽翔が一人で立っているのを見かけた。彼は一度、私に気づくと、少しだけ手を挙げて笑った。その笑顔に、私は自然と足を止めた。
「ヒメ、こんなとこで何してるんだ?」
陽翔が言った。いつもと違って、少し優しそうな口調に感じる。
「うん、ちょっと考え事してたんだ」
私は、少し恥ずかしそうに答えた。
「考え事?まさか、俺のこと考えてるんじゃないだろうな」
陽翔がからかうように言ったけど、その目は真剣だ。私はドキッとして、つい口をつぐんだ。
「違うわけじゃないけど…」
言葉を濁すと、陽翔は少し黙っていた。
「ヒメ、もし迷ってるんなら、俺にはもう一度チャンスをくれてもいいんじゃないか?」
陽翔の言葉が、私の胸に響く。
「チャンスって…?」
私は聞き返した。
「いや、俺の気持ちはもう伝えたつもりだったけど、もしヒメが他の誰かといることで迷ってるなら、ちゃんと伝え直してもいいと思って」
陽翔の言葉に、私はまた胸が締め付けられるような気がした。彼の真剣な眼差しが、私を見つめている。
その時、背後から足音が聞こえた。振り返ると、そこにはダイキが立っていた。
「おい、ヒメ」
ダイキが呼びかけ、私と陽翔を交互に見た。陽翔は少し目をそらし、ダイキは私に向かってゆっくりと歩み寄った。
「ヒメ、ちょっと話したいことがあるんだ」
ダイキの言葉に、私は何も言えずに立ち尽くしていた。陽翔もダイキも、私にとって大切な人。どちらも私に想いを伝えてくれる。でも、私はどちらを選べばいいのか、どうしても決められない。
「二人とも…」
私はついに、心の中で決断をしようとした。しかし、どちらを選ぶにしても、きっと誰かが傷ついてしまう。
その時、陽翔が静かに言った。
「ヒメ、自分の気持ちを大切にしてくれ。どんな選択でも、俺はヒメを応援するよ」
そしてダイキも、優しく微笑みながら言った。
「俺も、ヒメが決めたことを尊重する。どっちでも、ヒメが幸せなら、それが一番だから」
二人の言葉に、私は心が溢れるような感覚になった。この瞬間、ようやく少しだけ、自分の気持ちが見えてきた気がした。