どうも皆様、サカナです
リクエストしてくださっている方々、本当に申し訳ございません…!!!
最近投稿サボりすぎですね…
それと、実は今回のネタどこかで見た気がしてて…
もし被ってたら消すので…教えてください…
あ、アメにてです
戦争描写と原爆描写に注意です
昔から、私は女のような趣味をしていた。
かっこいいより可愛いと言われたくて
青色より桃色が好きで
軍人よりお花屋さんになりたかった。
けれども、私はれっきとした男なのだ。
背は四尺を超え、声は低く、筋肉もかなりある。
顔つきだって、厳つい方だと思う。
子供にも動物にも好かれず、国であるから国民たちとも仲良くなれず。
モダンガールに憧れたとて、訓練で忙しい私にはおしゃれする時間はないに等しくて…
とてもじゃないが、私は可愛くなどない。
子供の頃はまだ良かった。
成長期が来るまでは、女も男も大差ないから。
スカートを履くわけにはいかなかったが、よく同い年くらいの女の子と花冠を作ったものだ。
そのたびに「男のくせに」「女々しくて情けない」「お国は大丈夫なのか」と、陰口ばかり言われたものだが。
大人になると、私には国の責務が付き纏った。
外交、政治、公務、軍国として訓練も欠かせない。
私は憲法などよくわからなかったから、欧州のプロイセン殿に教えてもらうなどをした。
プロイセン殿はよく褒めてくれる方で、「かわいい」と言われない悲しさもいくらか紛らっていたのだ。
しかし時は残酷なもの。
頑張って責務を全うしていていたのに。
いや、だからこそ、気がつけば私に集まる賛辞の言葉は「かっこいい」が増えていた。
「…今更、可愛いの方が嬉しいなどと言えないな…」
ぽつりとそう呟けば、それは私にとって紛れもない事実となり、胸を締め付ける。
そろそろ他国との外交もある、きっと同盟を結ぶのだろう。
このようになよなよした姿でいるのも、最後にしなくてはならない。
私の名は大日本帝国。
この国を背負う男なのだから。
そうして結ばれた日独伊三国同盟。
私は更に「かわいい」と言われなくなった。
イタリア王国もナチスも良い人だ。
だが…
「日帝はいっつもクールなんね!僕も見習いたいな〜」
「お前には無理だろう。まずは落ち着くところから始めてくれ」
「ちぇっ!別にいいもん、僕は可愛い系で売ってるから!」
「お前みたいな長身男のどこが可愛いんだか…」
2人の会話はいつも通りだ。
それでも、私は少し傷ついた。
クールはかっこいいという意味で、落ち着きは可愛さと直結しない。
更には、ナチス曰く長身男のイタリア王国は可愛くないらしい。
同じくらいの私はどうなのだろう。
ぐるぐる考え始めてはキリがなく、やがて可愛くないという言葉だけが頭に留まる。
「…部屋に戻らせてもらう」
「ほら、お前がバカな事を言うから日帝が怒ったじゃないか」
「え〜!僕だってかっこよくなりたかっただけなのに〜! 」
ギャアギャアと騒ぐ2人の声を聞きながら、勝手に傷ついた私は自室に戻った。
「…」
幼い頃、箱にしまった桃色のリボン。
帽子を外し、異端な耳に取り付けてみた。
鏡に映るのは、無愛想な男が不釣り合いなリボンをつけている様子だけ。
かわいくなんてない。
「…こんなことなら、女に生まれたかった」
女になりたいわけじゃないんだ。
ただ、私は誰かに可愛いと言って欲しい。
リボンが似合うって、かわいくて素敵だって。
誰もいない1人の部屋。
乱雑にリボンを取っ払い、また箱の中に押し込めた。
リボンの下にはプラスチックの宝石、造花の花冠、フリルのついたブラウス、リボンタイ…
私にとって可愛いものを集めたこの箱は、今でも時々漁ることがある。
この花冠はどの方向が一番可愛いかであったり、リボン結びの可愛いやり方であったり、色々するために。
けれど…やっぱりどれも、私には似合わない。
可愛いと言われないのも納得だ。
だって私自身が可愛いと思っていないのだから。
無愛想で無口な祖国背負い。
それが私。
可愛くて笑顔溢れる乙女ではない。
箱にしまわれたものたちが私を見つめる。
嗚呼、虚しい。
そうして虚しい生活を続けていたが、時代はいつしも変わりゆき、不変など存在しないのだ。
絶好調だった私の国からは物資が消え失せ、日々国民の不安を無理矢理抑制するばかり。
「やるしか…ない」
既に2人はこの世を去っている。
誰1人として味方のいない私には、アメリカに戦争を仕掛けることしかできない。
卑怯なこともした、最初は快調だった。
皮肉なことに、私には軍人としての才があったから。
人を斬りつけ、薙ぎ倒し、進軍した。
けれど…アメリカたちだってバカじゃない。
負けが続き、我々には後がなくなっていく。
死ぬか進むか。
大丈夫。
勝てば官軍、死ねば英雄なのだ。
1945年の8月。
いつにも増して暑かったその日、更なる灼熱が私の身を焼いた。
「あ゛ぁあ゛あああ゛あぁぁ゛!!!!! 」
服が、皮膚が焼ける、溶ける。
私の足に、腕に、胴に、頭にも、どうにかなりそうなくらいの熱が籠る。
のたうち回る私を、アメリカはただ見下ろすばかり。
死にたくなかった。
熱くて、死にそうで、辛くて、前みたいに助けて欲しかった。
熱くて熱くて仕方がないのに、アメリカの瞳は凍りつくほど冷たく見える。
絶叫は響いた。
やがて掠れ、焼け、ヒューヒューと空気の抜ける音だけになる。
未練しかないのに、私の命は今に消えてしまいそうだ。
せめてアメリカを睨みつけるが、効果などあるわけがない。
ヒューヒューと空気の抜ける音をさせながらアメリカを睨み続けていると、アメリカが口を開いた。
「…Haha.そうしてる方がかわいーぜ?日帝。そのまま焼け死ぬ前に、遺言くらいは聞いてやるよ」
かわいい
アメリカは今、かわいいと言った。
「か゛ゎ…ぃ…?」
「あ?なんて?もっとデケェ声で喋れよな。聞き取れねえ」
「……わた゛…し゛…か゛ゎ、いぃ…?」
「…変なこと言うな、お前。あぁそうだな、そうやって這いつくばってた方がかわいいな」
アメリカとしては、嫌味のつもりなのだろう。
こんなことで喜ぶぐらい、頭はおかしくなっているようだ。
「ぁめ゛…り…か゛…」
「んだよ、遺言ならさっさとしろ」
「か゛わ、ぃ…いって゛、く゛れて゛… 」
ありがとう
変なやつだと思った。
敵国にありがとうなんて、初めて聞いた。
「…は…?」
日帝のやつは虫の息。
焦げ臭くてグロテスクなのに、日帝の笑顔は綺麗だと思った、可愛いと思った。
…そのまま死なせるには、 惜しい。
「…やっぱり殺すのやめた。おい日帝、まだ死ぬなよ」
気になったんだ。
かわいいって言われて、ただのそこらにいるような女の子と同じように笑うこいつのことが。
ただの嫌味のつもりだった。
10人が10人みんなにクールだと言われるようなこいつが、どうして「かわいい」に対して喜んだのかわからない。
その理由を知るまで、俺はこいつを殺せなくなった。
殺したくなくなった。
抱き上げた日帝の体は熱く、意識もない。
「クソッ…まだ死ぬなって言ったばかりだぞ、この野郎!」
ギラつく太陽に照らされながら、俺は全力で走る。
かわいいくらい何度でも言ってやるから、お前のこと、もっと教えてくれよ。
コメント
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最後の最後で純愛エンドはズルいて、、、! ただただ可愛いと言われたいがために頑張ったりおしゃれしたりする日帝さん健気で切ない、、、死に際の嫌味ですら純粋に喜んじゃうのマジ可愛い、、、このまま可愛いって言い続けたらどうなるんかな、、、? ということでアメリカ、幸せにしてあげてください🙇もちろんバドエンもアリアリのあり☆