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#デジタルイラスト
汚染
39
あめ猫@サボり魔
8,090
夜が明ける。
崩れかけた廃屋の隙間からは、柔らかい朝の光が差し込んでいた。
部屋を包んでいた熱気はすっかり消え去り、静寂の中、小鳥のさえずりが遠くから聞こえてくる。
「……ん……っ」
冷めた空気の中で目を覚ました1x1x1x1。
身体を駆け巡っていたあの異常な灼熱感は消え去り、媚薬の効き目が完全に切れたことを自覚する。
同時に、両手首を締め付けていた手枷が外され、シェドレツキーの手によって丁寧に介抱された後なのだと理解した。
だが――次の瞬間。
前夜の記憶が、1xの脳内に一気に戻ってきた。
(な。な……っ、な、なにやってんだ俺はぁぁぁッ!??)
自ら鎖で縛りつけたはずなのに、途中から「もっと奥まで来い」と必死におねだりしていたこと。
「好き、好き」と泣き叫びながら脚を腰に絡めつけていたこと。
シェドレツキーの言葉に喜んで、情けない声を部屋中に響かせていたこと――。
「ーー~っ!????!?」
顔面が爆発したかのように一瞬でカッと熱くなる。
恥ずかしさと情けなさで、頭がどうにかなりそうだった。
絶望的なまでの失態の数々に、1xは声も出ない。
1xは両手で勢いよくシーツを引っ張り上げると、すっぽりと頭まで被り、完全な「 シーツの繭」となって丸まった。
ガサゴソ……
モゾモゾ……。
シーツの中で膝を抱え、小さく丸まって震える1x。
その隣で、すでに目を覚ましていたシェドレツキーが、ベッドの上の丸い膨らみを見つめていた。
昨夜の余韻を残したまま、シェドレツキーの口元に柔らかい笑みが浮かぶ。
「1x、起きてるんだろ?」
「…………っ!」
シーツの膨らみがピクッと跳ね上がり、固直する。
シェドレツキーは優しく手を伸ばし、シーツの隙間からそっと中に手を差し入れた。
中で小さくなっている1xの背中を探し当て、あたたかい掌でナデナデと撫で下ろす。
「出ておいで。……昨日の1xも、すごく可愛かったよ」
「……だ、……れ……っ!」
「ん?」
シーツの奥から、籠もった叫び声が飛び出した。
「黙れバカシェドレツ キーぃぃ!!!」
シーツが勢いよく払いのけられ、中から真っ赤になった1xが跳び出してきた。
ドミノクラウンの下の頬はリンゴのように赤く染まり、眩しい赤目からは恥ずかしさでボロボロと涙が溢れている。
半透明の身体から立ち上る炎は、照れ隠しで真っ赤に燃え上がっていた。
「見んな! 思い出すな! 昨日のことは全部忘れろ! 毒の幻覚だ! バグだ! 俺は何も言ってねぇし何も求めてねぇえええッ!! 」
「ふふ、バグじゃないよ。ぜんぶ本物の1xだ」
「笑うな!! 次なんか言ったら本当にヴェノムシャンクで刺すからな!!」
キャンキャンと威嚇する1xに対し、シェドレツキーは恐れるどころか、愛おしさに耐えかねて身体を乗り出した。
「うわっ……おい、離せバカ――ッ!」
シェドレツキーは強引に腕を伸ばすと、暴れる1xの身体を丸ごと腕の中に閉じ込め、 ギューッと胸の中に抱き寄せた。
1xの顔がシェドレツキーの温かい胸元にうずもれる。
「離さねぇよ。一生離さない」
「……っ……ぁ……」
耳元で低く囁かれ、1xの身体から一気に力が抜けた。
シェドレツキーは、朱に染まった1xの柔らかい耳元へ、そっと優しく甘いキスを落とした。
チュッ、と小さな唇の音が響く。
「……っ~! ズルいんだよ、お前は……っ」
1xは顔をシェドレツキーのシャツに押し付け、蚊の鳴くような声で呟いた。
拒絶するようにシェドレツキーの胸を両手で突っぱねようとするが、その手にはもう、一切の力が込められていなかった。
朝の光が差し込む部屋の中で、ふたつの影はぴたりと重なり合い、いつまでも温かな抱擁を交わし続けていた。
END
コメント
2件
プリ小説の方でも見させて貰いました!1xの自分を抑えたいシーンやシェドレツキーが1xを肯定している場面がとても良いと思います!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧