テラーノベル
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「…ぁ、あぁあ、や、やめて」
ウパパロンの声は酷く震え、食事すらまともに手につかなくなっていた。
「…嫌、嫌だ…」
今までずっと隠してきた涙もボロボロと流れており、到底いつものウパパロンには見えないほどであった。
【どうして助けなかったんだよ】
「…うっ…!!」
夢で何度も聞いた、突き刺すような言葉
もう慣れたはずの、そんな言葉。
【私のこと嫌いなんだろ?】
_やめて、やめてくれ、そう願っても頭に響くトラウマは消えることは無い。
もう前を向こう_そう決めたくせに、今…それは彼女の言葉によって無慈悲にも粉々に砕かれていく。
向けられた言葉は何度も、何度も何度もガラスを割ってきて、これが手を組んだ彼女による言葉であることすら信じられなくなる。
_彼女の姿を模倣した別人なのでは?と考えた、だがそんな事有り得るはずがない。
_なら、これが本当なら、どうして理想としてきた?呪いをばらまくことが、理想なわけないじゃないか。
「いや、嫌だ、なんで?レイラー、様」
「…わたしに、わたしに聞かせたくなかったから?」
「こんな、こんなの…裏切りだ、裏切りだよ…」
「ある方、って誰?」
「ねぇ、どうして…?」
____
「……」
「…そうか、この人に…」
ぼうっとニュースを眺める椎名は思い至る。
今、レイマリと身体を共有している事実を_レイラーに伝えればいいのだと。
知ってる、知らないは別として_
「…なにか、私の問題の解決になるかも。」
そう呟いた後、椎名はスマホを開いて、りりからの返信を見る。
『こっちこそほんとにごめんね、隠したりしちゃって。』
『それで、どうだったの?レイマリさんとは』
「…そうだなぁ」
『和解って言っていいのかな、そんな感じ。』
『…そっか、ほんと良かった。』
1分ほどただ呼吸したのち、椎名は意を決したようにメッセージを打つ。
『…というか、ニュース見た?』
返信はすぐに返ってきた。
『あぁ、皇の人が話してるやつ?』
『そう、私この人に会ったらどうにかなるかなぁって。』
『ほんと、協力したいところなんだけど、ツテがないんだよね〜…』
『そうだよねぇ、うーん』
椎名はしばらく考える。
だが椎名が考えを出すより先に、りりからメッセージが届く。
『そうだ、レイマリさんに頼んでみたら?』
椎名はハッとする。
_レイマリは恐らく色々な人と関わっている_確かに1人くらい、レイラーやレイラーがいう”ある方”と繋がりのある人がいるかもしれない_
もしかしたら本人と繋がっている可能性もあるかも、と椎名は目を輝かせる。
『…天才か?ちょっと賭けてみるしかないね。』
『…そうだ、くるめちゃんと仲良くなったから、くるめちゃんとも話してみる!』
そんなりりからのメッセージに、椎名は驚いた。
『え、くるめさんと仲良くなったの!?』
『そーなの!!』
『怖いかと思ってたけどめっちゃ優しくて!!』
「…良かったぁ。」
りりのメッセージの温度感に、椎名は安堵のため息をついた。
(…そしたら筆談しないとな。)
「あ、そうだ、朝ごはん食べないと。」
はっと現実に戻り、椎名は自分の日常へと戻っていった。
___
めめは、レイラーの言葉を聞きながら静かに考えていた。
(…あっ、この方、大分前にウパパロン様と会談した時に…名前が出てた”イロニア財閥”ですよね?)
(……リィン・システムと関わりがある財閥なんですよね…いや、語弊があるか。)
(…どうしてそんなに執着するのか…わたしには到底わからない。)
(…これも一種の呪いなのでは?)
めめは考えながら、読み途中の本に目をやる。
「…ウパパロン様は大丈夫なんでしょうかね、あはは。」
めめの乾いた笑いが、流れるラジオを遮るように響いた。
正直、最近世界はめめにとって平和すぎた_そう感じていた。
「…まぁ…だからといってどうということも_ないんですけどね。」
「…レイラー様…なかなかすごいことをするんですね。」
どこか他人事のような声が書斎に響く。
持ってもいなければ、求めてもいないめめからすれば_あまりにもどうでもいいことだ。
だが_可能性は色々と考えられるだろう。
_これからの社会は、第2戦争に匹敵するほどの崩壊をもたらしてしまう可能性すらある。
「…」
めめは頬杖をつく。
「レイラー様も、ウパパロン様も、きっと私も_立ち回りだけは大きく変えなければならなくなりそうですね。」
「はぁ、どうしてこんなことになったのやら…」
めめは面倒そうにため息を着き、思わず失笑を浮かべてしまった。
___
「_呪い…」
「ほんと、こんな呪いなら最初ならなけりゃ良かったんだけどねー。」
「………っはは、はは。」
「…知っていれば、こんな…」
女は後悔を胸に抱いて、青すぎる空と照りつける陽を見やった。
まるでこの場所にだけ雨が降っているかのように、彼女の周りには空すら覆うほどの悲しみが、 亡霊のように、ただゆっくりと旋回している。
それは何年も続いた後悔で、二度と取り戻せない失敗、そして呪いだ。
「…もういっそ殺してくれよ…」
「あいつに返したいのに…あいつが誰か、全くわからないんだよ…」
絶えずぼやけ、潰されていく。
顔も体も、声も思い出も
_何もかも、急速に消えていく。
それは_彼女のひとつの後悔として卵になって、孵化もせずにただ居座って、何度も吐きそうになる。
「_誰なんだよ…私を…こうしたのは……」
Mist-404
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コメント
1件
うわ、今回の話、重かった…。ウパパロンのトラウマが抉られるシーン、読んでてこっちまで苦しくなったよ。あの「どうして助けなかったんだよ」って言葉、何度も夢に出てくるって、どれだけ心に刺さってるんだろうね。椎名とりりのやりとりの温かさとのギャップがまた効いてた。りりがくるめちゃんと仲良くなった報告、ちょっと安心した。めめの「どうでもいいことですけどね」って距離感、すごくキャラ出てて好きだわ。最後の女の後悔も含めて、呪いってテーマがいくつも重なってる感じがして、次が気になる🔥