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ぬっししー@ていふ
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こんにちは、ねこもみじです!
机に向かって勉強すること以外で青春をしたい受験生より猫乾さんをお届けいたします☀️👘🎆
※夏休み中に投稿するつもりが気づけば夏終わってました…気持ちを真夏に戻してからご覧下さい(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
見切り発車で書いてしまい、8000字以上の量なので時間がある時にのんびりと見て頂けるとありがたいです·͜· ❤︎
注意
・青桃(猫乾)
・微赤水
・学パロ
・エセ関西弁
・御本人様とは関係ありません
ーーーーー
「……あちー、」
季節は夏、毎日が猛暑日……もしくは酷暑なのかもしれない。夏休みが始まる前に学校を休んだがために補講を受けなければいけなくなり今に至る。クーラーはついてるはずなのに汗が伝うような暑さの中、窓の方へ目を向けると野球部やサッカー部の声が聞こえてくる。
こんな暑い中よく部活出来るな、暑さが苦手な俺からすると外に出て動きっぱなしだなんてありえない。
ありえないといえば……
「おい、無人起きろって」
「んー…?なに猫宮…もう少し寝かせて……」
補講中寝ているこいつもありえない。無人も撮影があって午後の授業をどうしても受けられなかったらしい、だとしても授業は寝ないだろ。
「……起きたら帰りにかき氷奢ったる」
「ほんとに!?!?」
机に伏せ、寝ぼけていた先程と打って変わって目を輝かせる無人に思わずクスっと笑ってしまう。
「じゃあ頑張っちゃおうかなぁ」
ぐいーっと伸びをしたかと思うと耳に髪を掛けて真剣な眼差しに変わる。その鈴のようにころころと変わる無人の行動に目がどうしても離せなかった。
「……あー、先生早く帰りたいからじゃんじゃんやろ!!」
「あと10分くらいで終われる!?」
「あほか」
「冗談だってば、ちゃんとやってからの方が美味しいもんね」
任せろ、と言わんばかりに親指を立てドヤ顔を見せつけてくる。それでもだるいと思わないのは顔が良いからなのかもしれない。
それに目が離せないんじゃない。こいつは目を離したらとんでもないことになるから離しちゃだめなんやった。
いつもは長く感じる先生の授業が今日だけは心做しか早く過ぎていくように思えた。
「んまー!!補講終わりのかき氷最高ー!!」
「そりゃ良かったな」
補講も終わり、近くの駄菓子屋でかき氷を作ってくれるらしいと無人に連れていかれて今に至る。
無人はいちご練乳、俺はブルーハワイを頼んだ。カフェであるようなふわふわのかき氷ではないが火照った体には十分すぎるほどの冷えたそれが絶品だった。
無人は昔からどんなものでも美味しそうに食べる。……あ、トマトは例外か。
丁寧にすくい上げ口に運ぶとたちまち瞳が輝くのが目に見えて分かる。
沢山あったものがブラックホールみたいに吸い込まれて綺麗に無くなるその様子が見ていて面白い。ずっと見ていると視線に気づいたのか睨んでくるのも何年も前から変わらないことだ。
「猫宮食べないの?俺食べちゃおうか?」
「あほか食べるわ、勝手に食われたら困る」
そう言ってまた食べ始める。抹茶を頼みがちだが俺の色だなと思ってブルーハワイに初挑戦してみた。形が崩れ溶け気味なひんやりとしたそれが一気に体全身を冷やしていく、案外悪くないな。
「えー、ブルーハワイも美味しそう…」
きゅるるん、とどこぞの少女漫画にありそうな効果音が聞こえてきたのは気のせいか。
「……一口いるか?」
「え、いいの?」
「そんな食いたそうな顔して見られたら流石にな」
太陽に照らされてキラキラと輝くブルーハワイを掬い無人の目の前へ持っていく。
「ん、」
食えよ、と言わんばかりに差し出すと無人は一瞬だけ目を見開いた。
「……え、あーんするの?」
「………あ。ごめん、無意識で」
口元まで近づけたスプーンを離そうとすると「いや、違くって」と無人が止める。
「いきなりでびっくりしちゃっただけだからさ、やるならちゃんとやってよ」
「あーんを??」
「うん。『あーん』を」
「それとも何、猫宮照れてんの?」
可愛いとこあるじゃーん、なんてからかってくる無人。でも無人の頬はほんのりと紅く染め上がっている。お前自分の顔みてみろよと言いそうになるのをグッと堪えた。
「照れてんのはお前な。ほら食え」
再度差し出すとまた補講の時のように髪を耳に掛ける。でも先程とはまた違う雰囲気に思わず胸が高なった気がした。……いやいや、こいつは幼なじみなだけであって。決してそんなやましい感情なんて無くって。
「んん…あま、猫宮ありがと」
「ブルーハワイの青って猫宮の色みたいで綺麗だよね」
にっこりと幸せそうに微笑むその姿が可愛いな、なんて思ったり。
「……あ、そうだ」
何を思い出したのか、美味しさで蕩けそうになっていたその瞳は瞬く間にキラリと変わった。
「今度花火大会あるらしいじゃん、あれ一緒行こうよ」
「りんご飴とか食べたくない?持ってるだけでビジュいいし」
「猫宮の好きなベビーカステラもあるし!!」
食べながら次の食べ物の話をするのか、と思わず笑ってしまう。
「食べ物で釣らんでも行くよ」
「ほんとに!?でも猫宮人混み苦手じゃなかったっけ」
「せっかくなら夏らしいことしときたいやん」
「……よかったぁ、無理って言われたらどう連れていこうかなって考えてたんだよね」
嫌と言ってもどうにかして連れていく気だったのか、スクショ済みの花火大会の概要の写真を見せてきた。
「『過去最大規模の花火が夜空に咲き誇る』だって!!相当綺麗なんじゃない!?」
「たしかに、屋台もかなりの数出るんやな」
「そうなの!!何食べようかなぁ」
花火大会に行くのは決まったとして、肝心の「あれ」の存在を思い出した。
「無人、浴衣は着らんの?」
「『浴衣』…?ほんとだ大事なやつ忘れてた!!」
まだ着れるかなぁと大食いのくせに出会った当初と一向に変わらない腹を撫でる無人。なんでそんな太らんねん。あのまん丸で色んなものを吸い込む某ピンクのキャラクターになってしまえばいいのにと何度思ったことか。
「俺は持ってるけど猫宮は?」
「俺は持っとらんから着らんかな」
浴衣なんて小さい頃の祭でしか着なかったから入るはずもなく。数年前にも祭に行ったがそこまで祭りに力を入れている訳でもないから私服で行った記憶しかない。
「そんなの勿体ないじゃん、青春なんて今しか出来ないのに」
「……あ、そうだ」
何を思いついたのかまたスマホを取りだした。即座に返信が返ってきたのかまた素早い手捌きでタタン、と音を立て返していく。
よし、と満足そうに会話を終わらせたあとスマホに向けられていた桃色の瞳がこちらを向いた。
「猫宮、花火大会の3時間前りうらん家集合ね」
「…で、りうらのところに来たんだね」
「そういう事、前に浴衣何着かあるって言ってた気がしてさ」
「あるよ、しかもいい感じのがね」
無人がりうらに連絡すると浴衣を持っていたらしく、貸してもらえることになって今に至る。
「それにしても二人でいくんだ、仲良いね」
「まぁね、猫宮俺のこと好きだからさ」
「やかましいわ」
「そういや大神は誰かと行くん?」
「りうらも行くよ、屋台で甘いの食べよってほとけっちに言ったら見事に釣れたんだよね」
少し前に無人と話したような内容で思わず笑ってしまった。りうらも無人もやることが同じすぎるだろ。
「俺もそれで釣ろうとしたわ」
猫宮はほとけっちほど単純じゃなかったけどね、と付け足される。
「あ、ほとけっちで思い出した。寝室で寝てるんだった」
「は?ここの?」
「うん、この前着付け教えたからないくんの方やってもらおうと思って先呼んでたんだよね」
「ないくんはここに居て、いふくんは隣の部屋で待ってて」
ほとけっち起こしてくるから、とりうらは階段を上がっていった。
「それにしてもいふくんが浴衣って珍しいこともあるんだねぇ」
「ないくんに押されたの?」
「それ以外に何があるん」
「えー?例えば『ないくんを惚れさせるためにオシャレしよう』とか」
そう話しながらも大神は浴衣を羽織らせ丁寧に背丈に揃えて折っていく。
「そんなことないし」
「ほんとかなぁ?」
じろ、と観察するように俺を真っ直ぐ見つめてくる。
「いふくん、いつもより楽しそうな顔してるよ」
「……はぁ!?!?やからそんなわけねぇし!!」
「暴れないでよ。もう少しで出来るんだから」
……あれ、俺こんなに大神相手に声を荒らげることなんてあったっけ。それに楽しそうな顔?いやいやいや……
「ほら顔真っ赤だよ、照れてる」
クスッ、と笑って手鏡を見せてきた。
そこには髪色や浴衣の青にはそぐわない頬を真っ赤に染めた、らしくない自分の姿があった。
「やっぱりいふくんってないくんのこと」
「それ以上はあかん、……隣の部屋に無人居るんやから」
「ふーん、やっぱり好きなんだ」
「だから…!!」
俺の訴えを遮るように今度は姿見の前に連れていかれる。
「はいイケメンいふくんの完成ー!」
「これでないくんを惚れさせるんだぞ!!」
そう言いバシバシと肩を叩いてくる。お前見た目の割に力強いって。
「それにほら、今しか出来ないことしなきゃ…ね?」
「たまにはいいこと言うやん」
「りうらはいつでもいいこと言うんだけど!?!?」
「はいはい、そうやなありがとう」
「礼は今度勉強教えたるから」
たしか古文が苦手だったっけ…授業中寝てることがあったような気がする。そんなことを考えていると予想もしていなかった返事が返ってきた。
「いやいいよ、今度どこまでないくんと進んだのか教えてくれるで十分だから♡」
「もうお前一回黙れ!!」
ーーーー
「ねぇ、ほとけっちに浴衣の着付けなんて出来るの?」
「ないちゃんってば失礼だねー、この前りうちゃんにスパルタ指導されたからもうバッチリだよ」
ほらお手手広げましょうねー、なんて幼児を相手にしているかのように話すほとけっち。俺高校生だけどね…?
「やっぱり花火大会といえば浴衣だよねー!勿論屋台もだけどさ」
「ないちゃんは何食べるの?」
「俺かぁ、やっぱりんご飴はマストかな」
焼きそばも美味しそうだし、ベビーカステラも…かき氷とポテトとわたあめと肉巻きもいいなぁ……せっかしだしどれも食べちゃおうか。
「ないちゃんのことだし、全部制覇しちゃいそうだよね」
「そうかな?」
考えていたことを読まれているのかと思うくらいほとけっちにはバレていたみたいだ。しょうがないよね、美味しいのが悪いんだもん。
「でも食べ過ぎたら太っちゃうし、撮影に影響が出ちゃうかも」
「そうだ、今日は読モの仕事は元々休みだったの?」
「あー、うん。そうだね」
「何その曖昧な返事ー!ないちゃんなら無理やりにでもお祭りの為に休んじゃいそう」
「そんなことないってば、ちゃんと誇りはあるんだから」
そう、誇りはちゃんとある。でもそれとこれとは別だ。花火大会は今日しかない。今日を逃してしまえば来年になるし、来年は猫宮と行けないかもしれない。
花火大会の日時が発表された3ヶ月前から事前にスケジュールを開けて貰えるように必死で頼んだんだからきっと大丈夫。
青春しなきゃ、つまらないし。
「いふくんも楽しそうだったしね、ないちゃんとお祭りデートできて嬉しいんじゃない?」
「『お祭りデート』??ただ行くだけなのに?」
「……え、ないちゃんほんとに言ってる?」
「うん?」
「いやいやいや、嘘でしょ!?幼馴染、親友、2人っきり、花火、浴衣…デートじゃないわけなくない!?」
「もうほとけっちったら、そんな訳ないじゃん」
「でもさ、正直ないちゃんお祭りOK貰った時嬉しかったんじゃないの?」
ドキッみたいなそういうの無かった?なんて聞かれる。
いや、なかった気がする……猫宮は人混みとかが苦手だから最初は無理って断れると思って誘ったから、正直嬉しかったけど。
「いやぁ、無いかなぁ」
「そっかぁ、じゃあ後から気づいていくやつだ!!」
「……?そうだね?」
もうないちゃん全然分かってない!!とツッコミつつもいつの間にか着付けは完成系間近まできていた。ほとけっちにこんなこと出来たんだ。
「…ねぇないちゃん、ちょっと遊んでもいいかな」
「…どういうこと」
「ちょっとじっとしててね」
悪い笑みを浮かべたほとけっちがじりじりと近づいてくる。え、俺今から何されるの…、!?
反射的に目を閉じるとそっと髪に手が触れるのが分かった。
「……編み込みするならそういってよ」
「えへへ、びっくりしちゃった?」
僕は変なことしないよ、いふくんじゃないんだし。と聞こえたのは気のせいだろうか。
「やっぱりないちゃんビジュいいから何でも似合っちゃうね」
「ちょー可愛いよ!」
「これならどんな男も女もイチコロだね!!」
派手すぎない落ち着いたカラーの桃色の浴衣に身を包んだ自分を鏡越しで見た。左側に結われた編み込みも含め別人のような自分に驚きが隠せない。まじまじと見ていると「気に入ってくれたみたいでよかった」とほとけっちは胸を撫で下ろした。
「ほら早く行かないと混んじゃうよ、せっかくの『お祭りデート』なんだからさ」
「だから違うって…!!」
「ごめんって、つい可愛いないちゃんをからかいたくなってさ」
「お互い楽しもうね」
ーーーーー
「うわぁ、人混みすご…猫宮大丈夫?」
「このくらいなら大丈夫やと思う…にしてもほんますごいな」
会場に着くと既に人混み状態で、一度立ち止まってしまうと人の波に飲み込まれそうなほどだ。まだ花火までかなり時間があるのにこの後どうなってしまうのだろう。考えただけで気持ち悪くなりそうになったから考えないようにしよ。
「俺が手繋いであげようか?」
手を差し出してきたがないこも人のことは言えない。
「ないこやって酔いやすいの知っとるんやからな、無理すんなよ」
「はいはーい」
「……ね、俺お腹減っちゃった。屋台回ろ」
そういってくいっ、と浴衣の裾を引っ張ってくる。これが無自覚なのがまた信じられない。
「ええよ、どっから回る?りんご飴食いたいんやっけ」
甘やかしてしまう俺も大概だと思う。でも好きな子の笑顔のためなら仕方がないと思うのもまた事実だ。
好きだなんて思ってしまうのも全部夏のせいにでもしてしまおうか。
「うん!近くにベビーカステラもあるんだ」
早く行こ、と腕を掴まれる。横に並べるほどのスペースはなく無人に導かれるようにして進んでいく。俺よりも小柄なはずなのに何故か頼もしくて輝いて見えた。
進むに距離に比例するように人の数も多くなってくる。肩がぶつかりほんの一瞬ないこから離れてしまった。一度離れてしまったら波に飲み込まれて進もうにも進めない。腕を伸ばしほんの少しの隙間からないこの手を握った。
「…!」
「離れたら困るからやし」
嘘。本当は手を繋ぎたいだけ。
「ほんとかなぁ?」
「ま、いいや。俺りんご飴買ってくるから待ってて」
「俺も行く、無人迷子なりそうやし」
そう言うと「俺そんな子供じゃないし!?」と返ってくるのは気にせず、二人で屋台の灯りに引き寄せられるように進んだ。
「おじちゃんりんご飴ひとつ頂戴」
「はいよ」
「500円な」
キラキラと目を輝かせ注文をする無人を横目に、財布を取り出して屋台のおじさんに渡す。
「え、猫宮?食べたくなったの?」
「別に、祭り誘ってくれたお礼」
「いやいや、悪いって。俺が猫宮と行きたいから誘っただけなのに」
「やからええの、聞きたい言葉それちゃうんやけど」
俺の意図を組んだように無人は観念して呟いた。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
一拍の空白が空いた間におじさんは無人にりんご飴を渡す。おじさんの視線は無人から俺へと移った。
「兄ちゃん達随分仲良いなぁ。特別にサービスしてやるよ、青髪の兄ちゃんもこれ食いな」
そう言っておじさんが俺にも渡してきた。
「いいんですか?お金は……」
「いいんだって!ほらせっかくの祭りなんだから楽しんできな!」
「…ありがとうございます」
「おじさんありがとー!」
バイバーイ、とおじさんに手を振りながら無人はまた俺を引っ張っていった。
そこからベビカス、焼きそば、かき氷と巡り人気の少ない場所へと移動して今に至る。
「んー!うま!!」
「やっぱいつ見てもビジュいいなぁ」
りんご飴を空に掲げその煌めきを眺める無人。
「こうやって過ごせて今すっごい楽しい!…やっぱり思い出はお金じゃ買えないからね」
「エモいこと言っとるけどそれは買ったやつが言うセリフな?」
「ふふ、バレた?」
「まぁ、無人が楽しめてるんやったらええや」
「…優男じゃん、なに?やっぱ俺のこと好きなの?」
自信に満ち溢れた表情をしてていつもの口癖を零す。
「んなわけあるか」
否定の言葉を入れるのも、これもまたいつものこと。
……好きだよ、なんて言えたらどんなにいいことか。
本当はお前のこと小さい頃からずっと前から好きだった、なんて言ったら無人はどんな顔をするのだろう。
隣に居たやつが好意を持っていたなんて知ったらどう思われる?なんて言われる?
今までの関係は崩れてしまうんじゃないか?やっぱり俺は「そんなこと」は言えるわけないし……そう自問自答を繰り返していた時、遠くから見てもすぐに分かる赤髪と水髪が見えた。
『これでないくんを惚れさせるんだぞ!!』
『それにほら、今しか出来ないことしなきゃ…ね?」
「……いや、分からんかも」
「へ?」
「んーん、何でもない。ほら、もう少しで花火始まるで」
21時を回った瞬間、大きな音とともに花火が打ち上がった。
パチパチと弾けるような花火から始まり、キャラクターの顔、そして連発してカラフルなそれが夜空を彩らせている。綺麗に咲くその音が心臓の奥から震え上がるように響き渡った。
人はあまりに綺麗なものを見ると、声にならないのかもしれない。
ないこは口を開け小さな子供のように目を輝かせて見ている。
俺もその情景を目に焼き付けたくてじっと夜空と視界に映る無人も含め見つめる。瞬きの一瞬でさえも惜しいくらいに。
過去最大規模と言われるくらいあってこれでもかと花火が打ち上げられる。
その時、無人が手を握ってきたのが分かった。
「……無人?」
「…あのさ、」
「……猫宮は、俺から離れる?」
一拍置いて紡がれた言葉は花火の音にかき消されてしまいそうなほどに、弱々しいものだった。
「なんでそんなこと聞くん」
天真爛漫な無人がこんなに弱気になるのがあまりにも珍しくて思わずその手を強く握りしめる。
「いや…将来とか考えたらさ、いつまでまろと居れるかな。とか思ったり思わなかったり…」
「……なんや、そんなことか」
「そんなことってなんだよ。こっちは本気で考えて…!!」
「俺はお前から離れるつもりは無いよ」
「…それだけやったら、足りん?」
「……足りない」
おっと、そう来たか。普段素っ気ない態度ばかりだからいつになく手が震えてしまう。こういう時、大神や稲荷ならどうするのだろう。
「うーん、最後まで言うつもりはなかったんやけどな」
花火はフィナーレへと近づき、一段と大きな花火がゆっくりと咲き誇る。
でも、花火の音でかき消されるようなベタな告白なんていらない。
「…俺は無人が好き。やからお前から離れるつもりもないし、離すつもりもないよ」
そう言うと無人は目を大きくさせた。小さな声で「俺も」と聞こえたのはきっと気のせいなんかではないだろう。
本当に俺は無人に弱い。無人に花火大会に誘われた時の俺に言ってやりたい、無人に好きなんて言ってしまったって。
「…ね、来年もまた花火大会一緒に行ってくれる?」
「当たり前やろ、何年先の未来でもお前の隣に居てやるよ」
ひと夏のあまりにも甘過ぎる青い春の思い出をそっと閉じ込めて、もう一度無人の手を繋ぎ返した。今度は恋人繋ぎで。
ずっと離れることがないように想いを灯した花火が俺たちを照らしていた。
コメント
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みなさまお久しぶりです!!今回のテーマは何度も作中で出てきた「青春」です! 受験勉強真っ只中なのでもしかしたらこの話が受験生中の最後の投稿になるかも!!ってことで試行錯誤して書いていたら夏が終わってましたね😭😭 お友達と見た花火が忘れられなくて私なりに表現してみたつもりです!!·͜· ❤︎ みなさまの青春がどこまでも青く濃いものでありますように︎🫶🏻︎💙