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優香と二人で綺麗な貝殻を見せあっていると、後ろから車が来る音が聞こえてきた。
俺らは顔を見合せた。
そして虚ろな目で振り返り、これからどうなるのか、考えることも諦めた。
すると、優香が俺にバックを押し付けるように渡した。
「これ、次会う時まで持ってて。中見ていいよ。」
俺は次会えるまでのお守り的な、ジンクス的なものなのかと思って、受け取った。
パトカーとはまた違う車から降りてきたのは俺の母さんだった。
「翔ちゃん!なんで私に何も言わずに出掛けるの!」
母さんは怒り狂っているのか、泣き叫んでいるのかわからなかった。
「まあ!優香ちゃんじゃないの!」
俺は血の気が引いた気がした。
「あなたが翔ちゃんをこんな教育の悪いことに付き合わせたのね!」
やっぱり。母さんは、母さんが作りあげた俺を疑うより先に優香を疑うだろうと薄々思っていた。
「母さん、優香は関係ない。俺が誘った。」
俺は母さんに駆け寄った。
「嘘よ!翔ちゃんはそんな子じゃないことは私が一番よく知ってるわ。」
今にも泣きそうな顔をして母さんは俺を抱きしめると、急に横をすり抜け、優香の方に歩いていった。
もっと強く、縛られるように抱きしめられるかと思った俺は少し、フリーズしてしまった。
俺は母さんを追いかけた。優香に何かするかもしれない。俺は自分の母親なはずなのに何をするか分からない怖さがあった。