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明太子に食われる鈴木
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色々注意
家族構成
父:江戸
長男:日帝(陸)
次男:日本
「父さま!父さまぁ!」
弟の泣き声だけが虚しく部屋に響く。
江戸は___父上は…今しがた、心の臓を止めて、この世から姿を消した。
急なことだった。持病で以前からこの手の発作が多かったから、いつかは仕方がない、と思っていたら、これだ。
あまりにも急すぎる。どうして……
「父上……」
かすかに残るぬくもりを欲して、その手に縋りつく。
弟___日本などは、もはや父上に抱き着いて泣いていた。
ああ、これから、どうすればいいのだろう。
父という保護者をなくし、母は元からいない。今まで通り働くにしても、日本を一人で置いておくのは……
それに、親がいないとなると、不便なことは多い…日本に学校すら満足に行かせてやれないかもしれないし、そもそも毎日の食事すら、今まで厳しい状態だったのだ。
親のいない子に対する扱いは厳しい。特に同年代は、親がいないというだけで「異物」と判断して排除したがる。
俺はまだいいのだ。自分で守れるし、やり返す力もそれなりに持っているから。
でも、日本は?
まだ幼くて、父上や俺の言うことを素直に聞く良い子だ。当然、汚い言葉を言えるはずもないし、やり返す力なんてもってのほか。俺が悪意のはけ口になれない、となれば、標的が日本に向くのはごくごく自然なことだ。
「にいさま、大丈夫?」
「ああ……少し、考え事をしていただけだよ。」
眉間に皺を寄せていると、日本が俺の顔を覗き込んで心配してくれる。自分も父を失って悲しくて仕方がないだろうに___日本は、本当にやさしい。
だから、守ってやらなければ。
まずは親となってくれる人物がいないか捜すべきだ。そのうえで、見つからなかったら奉公に。日本を一人にさせないよう気を付けなければ。
親戚はまずだめだ。そもそも存在しない。父上は天涯孤独の人だったから…
でも、友達はいたはずだ。
父上の交友関係を洗い出そう。その中で今日本に来ている人がいないか確認して、交渉を。確か、阿蘭陀さんと父上は特別に仲が良かったはずだ。他の国とは交友を嫌がっていたし、その人に頼るしかない。あるいは、日本列島そのものと旧知の中である志那(中国)を。そう悪い人でもないはずだ。気概の良い者が好きそうな目をしていた。子供の身で自分から交渉に出向いてくるような者を、そうやすやす逃しはしないだろう。
「大丈夫だよ、日本。兄さまが絶対におまえにいい暮らしをさせてやるからね。」
「にいさま、僕は生きてさえいければ…」
「そんなことを言うんじゃない。勉強がしたいしたいと言っていただろう。」
「…勉強なんて、したくありません!学校にも行きたくないです!」
嘘だ。日本はずっと前から、勉強がしたい、学校に行きたい、お友達をつくりたいと散々言っていた。こんなに急に変わるはずはないのだ。それに、嘘をついている目をしている。
ああ、この年なのに、もう人を気づかうことを覚えてしまったなんて……
日本には、苦労ばかりかけている。私がもっと、大人で、力があったのなら……
「…さま、にいさま!」
考え事をしていると、いつになく乱暴に肩を揺らされ我に返った。日本が不安そうな顔をしている。
「誰かが戸を叩いて…」
「……分かった。日本はこの部屋にいなさい。何かあったと思ったらすぐに隠れるか逃げること。」
「はい……っ」
誰かが控えめに戸を叩いている。四回連続で叩き、そのあと少し間を開けて同じことを計二回。その後、先程よりも間を開けてから同じ叩き方を……
(このあたりの者ではないな。)
「どなたでしょうか?」
懐の小刀をいつでも取り出せるようにしながら、声をかけた。
「やあ、俺はEdoと友達だったものでね、来てみたんだ。」
「…阿蘭陀殿でしょうか?」
言いながら、違うということははっきり分かっていた。
この軽薄な明るい感じ、腹の底で響く低い声……阿蘭陀殿ではない。
「いいや、違うよ」
なりすましをしない…つまり、よく調べて俺たちに害をなそうと思っているわけではないらしい。
だが…戸を開けた瞬間、斬られないとも限らない。
いざとなれば、日本だけは。
意を決して、戸を開けた。
「やっと開けてくれたね!Hello!」
その男が影になっている玄関の中で、ただ、真っ白な星型のきらめきのみが輝いていた。
「Nice to meet you!」
初連載です!一応別界隈にいたことはあるのでそれなりに文を書くことは慣れているのですが…いかがだったでしょうか。
完結まで引っ張っていけるように、皆様応援のほどどうかよろしくお願いいたします!