動画がアップされてから、数時間が経過した。俺の「告発動画」は予想以上に多くの人々に視聴され、コメント欄は文字通り炎上した。悪意、同情、怒り、そして興味――さまざまな反応が一気に押し寄せた。正直、俺は予測していなかった。こんなに多くの人が、俺の告白に対して反応するなんて。
俺は冷たい目でスマホの画面を見つめていた。コメント欄は、もはや荒れ果て、ただでさえ荒れていたSNSの一角でさえ、さらに混乱を招いていた。俺はその中に埋もれたコメントを、じっくりと読み込んでいった。
コメント1
「許せない。あなたがやったことは許されるべきではない。でも、自分を告白してくれたことに少しだけ尊敬を感じる。逃げなかったことだけは本当だと思う。」
— @無名のファン
コメント2
「頭おかしいだろ。どうしてあんなことしたんだよ? ファンを裏切ったことがどれだけ痛みを与えたか、分かってないだろ?」
— @怒りのリプ
コメント3
「10年も経ってから告白して、何をどうしようっていうんだ。遅すぎる。何も変わらない。」
— @社会的死
コメント4
「彼が言っている通りだよね。皇様の死がどれだけ影響を与えたか、俺は感じていたけど。だけど、告白できなかったのか…」
— @昔のファン
コメント5
「10年も経ってから今さら告白したところで、どうでもいい。今さら反省されても、誰も許さないだろ。」
— @後悔のない者たち
俺は深くため息をついた。誰もが俺を批判しているようで、だれもが俺の過去を掘り返して、責め立てている。その通りだ。俺には言い訳なんてない。誰もが正しいし、俺も自分を許せない。
コメント6
「でも、彼は逃げなかった。逃げたら本当に終わりだったんだろうけど。今、告白している時点で、まだ何かをしたいって気持ちがあるんじゃないか?」
— @冷静な意見
そのコメントが目に止まった。逃げなかった。少しでも救われたような気がした。俺は逃げなかった。それだけは事実だ。それに、どうしても言いたかったことがあった。それは、あの事件を引き起こしたことをただ反省するだけじゃなくて、世界の中で自分の存在を告げたかったからだ。
コメント7
「どうでもいいよ。俺はもう、皇様が生きていたらどんなに良かったかを考えてるだけで、もうお前みたいな奴に興味ない。」
— @消えろ
コメント8
「お前がやったことは許せない。少しでも後悔してるなら、それは俺たちが受け入れないといけないんだろうな。ファンボック!も関わってるみたいだし、まだ追ってるってことは、もしかしたら…まだ何かあるのか?」
— @隠された真実
コメント9
「彼の告白が真実だとしても、どうしようもない。お前を許さないし、何も変わらないよ。」
— @理不尽な現実
コメント10
「この告白がきっかけで何かが変わるなら、それでいいんじゃないかな。どうしてあんなことをしたのか、その理由も知りたい。」
— @何かが変わると信じたい人
俺はそのコメントに目を留めた。「何かが変わる」――正直、今更期待するほど俺は馬鹿じゃない。でも、それでも心の中に小さな火種のような希望が芽生えるのを感じた。正当化するつもりはない。何かを伝えたかっただけだ。俺がしたことを知って欲しかっただけだ。
コメント11
「何があっても、俺たちは皇様のことを忘れない。あなたを許さないけど、皇様のことは永遠に心に刻む。」
— @不滅のファン
そのコメントを見て、俺の心の中で何かが弾けたような気がした。彼の言葉が刺さった。それは、自分がしてしまったことがどれほど取り返しのつかないものであったのか、改めて感じさせられる瞬間だった。
だが、俺はまだ終わらせたくなかった。自分を許すつもりはないが、少なくとも、何かを変えたくて、最後に伝えるべきことがあるような気がしていた。過去の自分を消すことはできない。でも、少しでも前に進むためには、まだ語るべきことがある。
俺は深呼吸をして、再びスマホを握りしめた。そして、次に何をするべきかを考えながら、コメント欄をスクロールし続けた。
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