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ますます荒れ狂っていく中、俺は一つの考えに囚われていた。それは、ファンボック!――あの事務所が抱える、何か大きな秘密のことだった。ファンボック!は、皇様を恐れていた。いや、恐れていたというより、彼女に危機感を覚えていた。彼女がどれだけの影響力を持っていたか、それを理解している者は少なかった。
でも、俺は知っている。あの日、皇様が命を落とす直前まで、事務所には彼女を排除しようという動きがあったことを。
[13年前の真実]
13年前、Vtuber業界は今ほど栄えていなかった。だが、皇様はその存在を一瞬で爆発的に広め、数百万のファンを持つまでに成長した。ファンボック!という事務所は、最初こそその勢いに乗ろうと躍起になっていた。しかし、やがて彼女の勢力があまりにも強大になりすぎたため、事務所内は彼女を「脅威」と見なすようになった。
皇様が持つファンの熱狂、その影響力――上層部にとっては制御できないほどの力となり、に「危険因子」として排除しなければならないと判断された。
事務所の幹部たちは、暗殺計画を立て始めた。
俺はその時、まだ普通のファンだった。皇様の配信を見て、コメントを送ったり、彼女の笑顔に癒やされていた。けれど、ある日、何気ない夜の配信で、皇様がふと口にした言葉に俺は驚愕した。
「最近、ちょっと不安だな。誰かに監視されているような気がして…」
その言葉は、偶然だったのかもしれない。でも、俺にはどうしても「裏」があるように思えてならなかった。
その後、俺はある情報を手に入れる。それは、ファンボック!の一部幹部が、皇様に対して危険な計画を進めているというものだった。初めは信じられなかった。だが、証拠は確かだった。計画は着々と進行しており、皇様が事務所の内外で影響力を持ちすぎることに対して、強い警戒心を抱いていた。
その計画が実行に移される前日に、何も知らない皇様の命が奪われた。
「いや、違う。俺は皇様を殺していない…」
しかし、俺が皇様を殺す前、実はもう一つの事実があった。それは、ファンボック!の幹部たちが俺を利用していたことだ。計画を実行するために、俺が犯人に仕立て上げられることを、彼らはすでに想定していた。
俺が犯行を犯す数日前、皇様と会話を交わす機会があった。その時のことを、今でも覚えている。
「あなたが…私を守ってくれたら、もう何も怖くないって思った。」
皇様はそう言って、微笑んだ。だが、その笑顔がすぐに消えてしまうことを、俺はあまりにも軽率に感じた。
その日、俺は一度、彼女を守ろうと決意した。しかし、翌日の夜、事務所から届いたメッセージがすべてを変えた。「計画通り、実行して欲しい」という内容の短いメッセージが、俺の携帯に送られてきた。その時、初めて全てを理解した。俺は単なる駒で、事務所の一部の人間が背後で操作していたにすぎなかった。
あの日、皇様はまだその計画に気づいていなかった。彼女は普通に配信をして、ファンと交流し、笑顔を絶やさなかった。しかし、俺が現場に到着したとき、事務所の命令を実行することを強制されていた。言われた通りに、俺は皇様を…その時、彼女が誰なのか、どれほどの影響力を持っているかを、考える暇もなかった。俺の手は震えていた。
そして、俺は事件が終わった後に気づいた。
あの時、俺は単に事務所に騙されていただけだった。皇様の死後、事務所は計画を隠蔽し、俺を犯人に仕立て上げた。そして、俺はそのまま追われ、何年もの間、逃げる羽目になった。
だが、今になってその全てを話さなければならない理由がわかった。俺の手に、ただひとつだけ残された「最後の一歩」がある。それは、俺だけじゃなく、皇様を含めた多くの人々に向けて、真実を暴くことだ。
「ファンボック!は、ただの事務所じゃない。」
(男はカメラに向かって冷徹に語りかける。)
「その裏には、皇様の死に関わった、もっと深い闇が存在する。それを知っている者は少ない。だが、誰もが恐れている。彼女を倒したことで、ファンボック!は表向きには安泰だと思っているだろう。しかし、実際には、あの日からすべてが狂い始めた。」
俺が知っている真実は、これだけではない。あの時の計画には、皇様の死後も続くものがあった。それが明るみに出れば、あの事務所は崩壊する。だが、俺にはその力はない。
ただ、今言えることは、あの日の事件が、単なる偶然や衝動によるものではないということだ。俺が関わったその計画、そしてその背後にある真実――それを暴くことが、俺の最後の贖罪だと感じている。
「そして…俺が犯した罪、俺が引き起こしたこの世界の混乱――そのすべてを、今、告白する。」
(男は深く息を吸って、カメラに向かって強い目を向ける。)
「全てを終わらせるために。」