カタカタとタイピングの音が部屋に響く。無言で手を動かす少年は明らかに不服そうな顔をしていた。それを見た一人が少年をからかうように言葉をかけた。
「よぉ、随分とご機嫌ナナメだな?」
「話している暇があるのならさっさと手を動かせ。腐った納屋が 」
声を掛けた者はソ連、ブツブツと小言を言う少年をナチスという。
「ハイハイ、わかってる。だけどコイツらはいいのかよ」
ソ連は、書類の上に頭を乗せて寝ている者と、呑気にコーラを飲んでいる者の方を指さした。
「アイツらは言ってもやらないから、もう諦めてる」
「えぇっ!?酷いんね!ナチ!」
「そーだそーだ!別に待ち時間なんだから何やってもいいだろ!」
「仕事がたまっているから言っているのだ!そもそも今やっているのだって、元はお前らの仕事だからな?聞いているのか!?イタ王、アメリカ」
イタ王はナチスの怒号にビビってしまったようで、慌てて飛び起きる。しかし、仕事を始める気配はない。
アメリカは依然として、堂々とコーラを飲んでいる。だが、背後から現れた影にコーラを奪われてしまう。
「おい、返せ!日帝!」
「黙れ鬼畜米帝!いつも先輩の手を煩わせやがって!」
「なんだと〜!?やるかぁ!?」
「うーわ、また始まったよ。日帝とアメカスの喧嘩が。ナチ、お前は今回どっちに賭ける?」
「賭けん。というか、来たぞ」
日帝とアメリカが取っ組み合いになったところで、ナチスが待ち時間の終わりを知らせる。
「おやおや、皆さん、いい子で待ってはいられなかったようですね。」
「待たせたな。あ、俺は呼んでないって?」
きぃぃ、と扉が開く音がして、2つの人影が姿を出す。国際連合と国際連盟だ。
「それで、俺ら全員を呼んだってことは、相当大規模な事件なんだろ?」
アメリカが日帝の手を引き剥がして口を開いた。日帝は舌打ちをして手を退いた。
「それにしては、2人位バックれてる気がするんだがね」
「イギリスさんとフランスさんは別の事件に行ってますので、仕方がないですよ。」
国際連盟が皮肉っぽく言うと、国際連合が苦笑いで訂正した。
国際連盟はケラケラと笑うと、机にパソコンを置いて席についた。
「まあ、前座は要らねえよな?」
そう言ってパソコンを開いて、 それを皆が覗き込む。
「成程、連続失踪事件か。」
「ひぇ、これ、イオも行かなきゃダメ?」
「だから依頼したんだろうが」
枢軸が言葉を交わす中、連合の2人は既にパソコンに目を向けていなかった。大国の余裕、というものなのだろうか。そして、ソ連が手袋をしながら口を開く。
「場所は何処だ。」
「さっすが、作戦とかは要らねえの?余裕だなぁ」
「作戦?そんなのコイツらが俺に合わせて動けばいいだろ」
「本当に自分勝手だな貴様は」
「これでいつも何とかなってるんですから、面白いですよね。」
国際連合は紙に場所をメモしてソ連に渡した。
ソ連はすぐに部屋を出ていき、扉は開けっ放しのままだ。
「待て!お前には先越されねえぞ?」
アメリカがソ連を追いかける。それを見て、ナチスは呆れたようにため息をついた。
「私達も行くか」
「了解です、先輩。」
「いやぁ、怖いんねぇ」
ナチスがたどり着いた頃には、足元には氷柱が刺さった人間達が転がっていた。
「何度言っても、アイツは能力を多用して、」
「派手にやったんね。」
「殺してはいないな。流石にそこは弁えているのか、イタ王」
「はーい、『全体主義と未回収』」
日帝は氷柱を抜いた後、イタ王に呼びかけた。長年のつきあいによってその意味が分かっているイタ王は、人間達に手を翳した。
すると、人間達の傷口がみるみるうちに塞がっていった。
「コレは国連達に任せるか。
そして、」
ナチスは背後から襲いかかる者を躱し、素早くナイフを突き刺した。それでも尚襲いかかろうとしてくる人間を見て、ナイフを抜いた。
「『生きるに値しない命』」
そう宣言すると、人間は血を吐いてその場に倒れ込んだ。
「今回私の出る幕はなかったか」
日帝は人間達を担ぎ、そう言い放った。
この小さな身体でこれだけの人間を担ぐなど、何処からその力が湧いているのだろうか。
「いや、運んでくれるだけで十分助かっている。連合は今何をしているのか」
「とりあえず、一旦国連達の所に戻るんね。多分あの2人なら大丈夫なんね。」
「それもそうだな。別にアレがどうなろうと知ったこっちゃない」
そうして、枢軸は歩き出した。
ソ連とアメリカは2人で行動していた。 ただし、険悪な雰囲気が続いていた。
そんなとき、アメリカが歩いていると、カサリと紙の音がした。足を退けると、それは封筒で、中に何かが入っているようだった。
「ええっと?中身は何が入ってんだ?」
「どうしたアメカス」
アメリカは封筒の中身を見ると、それはイギリスの国旗、いや、イギリスの国旗から北アイルランドを抜いた国旗が額についた少年の写真だった。アメリカは不思議に思って封筒の方もよく見てみると、『アメリカ宛て』と小さく書いてあった。
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国連達(血の繋がってない兄弟)
国際連合
能力:国際機関
国を統率する能力
国際連盟
能力:国際機関〔失敗作〕
国を統率する能力
(国際連合に比べるとほとんど効果がない。使用不可。)
コメント
4件
設定から神なのに、内容まで最高すぎます‼︎
え、かっこよぉぉぉッッ✨️ 惚れる...(?) 続き楽しみにしてます🫶🏻️︎💕