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いつになったらあの探偵の人達は来てくれるのだろう。
いや、でももう彼らがこなくても内心良いんじゃないかな。
けれどそしたら、またこの男は私を捨ててお花と体で関係を結ぶ。そして、私は彼に捨てられて…
「おい、お岩。ちょっと酒買いに行ってきてくんねぇか。」
「…はい。」
いつになったら私はこの男に愛してもらえるんだろうか。
*
足が重い。
数時間前までは足など無い‘’幽霊‘’としてこの世をさまよっていた分の代償だろうか。それとも私があの男に復讐したいが為にこの世にまた‘’私‘’として転生してきたから?
「すみません、焼酎を2本下さい。」
「はい焼酎2本ね。」
「ありがとうございます。」
無事頼まれたものを買い終わり、特に寄り道をせずに帰路へと向かう。これは私が死んでから何百年か経ったときに偶々見かけた夫婦の話だが、片方のある旦那の方は仕事が終わるとよく周囲の人間に、
「今日飲みに行かねぇか」
「これから時間空いてる?何処かで飯食っていこうぜ」
こういう甘い誘惑に負ける事なく、「家で妻が待っているので」と言って笑顔で断り、真っ直ぐ帰路に向かい、妻の事を考えている姿が凄く幸せそうに見えて、私にとっては妙に気持ちが悪い恋愛映画のように感じた。
そんなこんなで歩いていると、
‘’ なんだいあの穢い顔… ‘’
‘’ 確か伊右衛門のところの女だろ? ‘’
‘’嫌だねあんなの。さっさと目の前から消え失せてくれ。 ‘’
などと罵倒の声が飛び交っているのが耳に入ってきた。だがしかし、普段なら之を聞くだけで更に気分が風船のように沈んでいくのにも関わらず、右から左へと出ていく感じがした。何かが可笑しい。私が逆に今何かに酔っているのだろうか。
「あれ、可笑しいな…。お嬢さん、これ落としましたか?」
後ろから何故か聞き覚えのあるような声がした。
「すみません…城下街の方で少し荒れてた揉め事に巻き込まれちゃいまして…」
「やっと【本日の主役】が揃ったな。」
本日の主役だなんて
「態々探しに来て下さって有難う御座います。そして、私貴方方にお伝えしたいことがあるんです。」
「ん、どうかしたか?」
私じゃないのに。
「皆様に態々こんなに親切にしてもらえて、転生してまでまたやり直すチャンスを与えてもらえて、初めて自分が幸せ者だな…と感じることができました。
そして、
…やはり依頼は破棄でお願いします。」