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蘭は「顔だけ見れば完璧」だった。
綺麗に整った目鼻立ち、透き通るような白い肌。伏し目がちに微笑めば、小説の王子様そのもの。歩いているだけで「え、今の子めっちゃ可愛くない?」と振り返られることも珍しくない。
だが、蘭が口を開いた瞬間、その幻想は粉々に砕け散る。
「鈴先輩!昨日調べたんですけど、1円玉1枚作るのに2円かかるらしいですよ!つまり、1円玉を作るたびに日本は破産に近づいてるってことですよね!」
「……蘭が喋ると、顔面偏差値が急降下するのよね…」
せっかくの美貌を、彼自身の言動がすべて台無しにしていく。しかも本人はその自覚がまったくない。
ある日、女子から「蘭くんって本当かっこいいよね」と言われたことがある。周囲が「お、ついに本人も自覚するか?」と期待した次の瞬間、蘭は真剣な顔でこう答えた。
「えっ、僕ってかっこいいんですか?それ、蘭だけに乱視の可能性ないですか?」
「いや、お前が一番目ぇ悪いわ!!!!!」
もはや天性の残念さ。蘭は今日も、せっかくの美貌を自らの発言で台無しにしながら、無自覚に周囲を笑わせていた。