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サイド ユメ
心の中を読み取るようになってからは、もう地獄のような日々が続きましたわ。
『お父様、あたくしだって頑張っていますの……』
『頑張ってその結果か?』
『……申し訳、ありませんわ……』
『出来損ないが。あいつにそっくりだな』
『……!お母様のことは悪く言わないでくださいませんこと……?』
父は、一言も喋っていませんでした。
あたくしが無意識のうちに相手の癖を、仕草を、読み取ってしまったのです。
自分では、相手が喋っているのか、それとも心の声なのかも、わからなくなるほど自然に。
無意識に心の声が聞こえるのですから、自分でもどうしようもございませんのよ。
それは、才能ではなく、異常。
『化け物……!』
血の繋がった妹にさえ、怯えた表情でそう言われましたわ。
あの時から、あたくしには大切な何かが欠けてしまったのです。
サイド レン
「あたくしは、幸せなあなた達が羨ましいですわ。幸せなことにさえ気づいていないあなた達が妬ましいですわ」
……ユメは、だから、壊すことを選んだのか?
オレは、ユメのことを何もわかっていなかった。
……けど!!
「だからって、いじめをするのは違うだろ?!ユメはオレらより責められる苦しみを知ってるじゃねぇか!!」
「あたくしだって、こんなことしてもどうしようもないことくらいわかってますわよ」
そう言ったユメの視線は、どこまでも冷ややかだった。
もう、失うものはないと、全てを諦めている目。
「これは、あたくしなりのこの世界への復讐ですわ」
「嫌われるなら、とことん嫌われてやりますわ。……化け物と言われたこの才能を使って」
……それを終えたら、ユメは、何をするんだ?……自殺、するのか?
……そんなこと、させない!させたくもない!!
「オレらが、止める!絶対に!!」
「…………誰かに期待をするのは、もううんざりなのですの」