サイド レン
「そっか、そんな過去があったんだね……」
「それがわかっただけでも大きな収穫だな」
ユメの過去をオレはすぐにモンダイジ団のみなさんに話した。
ルネさんだけ団長さんちにいないけど。
「それで違和感の正体がわかったよ。ありがとう」
タエさんはそう言った。最初と比べると、かなり話せるようになってくれて、嬉しい。
「違和感って、そんなのありましたっけ?」
でも、オレはタエさんが何言ってんのかわかんねぇや。
「ほら、トキさんが言ってたでしょ?『ユメちゃんのことを覚えていたのは、愛知とか、福岡とか、いろんなところにいたから』って」
「確かに言いましたけど……」
トキさん自身が反応する。
「普通は、そんなにあちこちに行かない。……ううん、行けないの」
???
「費用とか、泊まったりする場所とかが必要だからね。移動手段も必要になってくるから」
あ、そうか!ライブとか、お金かかるもんな!さらに全国回れるほど経済的余裕なんてオレの家じゃ無理だ。
「ユメちゃんの過去でどうやってその問題を解決したのか、わかったの」
そう言ってタエさんはスマホで何かを検索した。
「たぶん、ユメちゃんのお父さんがこの『横山警備員派遣会社』の社長なんだと思う。本部の移転ももう何十回もしてる」
「これがその移転先の地図だ」
マオさんがテーブルの上に日本地図を広げる。そこには丸いシールが貼ってあった。
「すげー!いつのまに用意したんだ?!」
「いや、キノ。お前も手伝っていただろう?」
「?忘れてた」
なら、しょうがないな!
「……忘れっぽいってレベル超えてない?」
キリさんがボソリと呟いた。
「どうにかして、ユメに盗聴器をつけたいんだけどな……」
マオさんがそういう。
オレとタエさんが立てた作戦はもう整っているから、あとはいつユメが行動するかが鍵になる。
だけど、ユメは人の心を読める。つけたとしても、すぐ外されるのがオチだ。
つまり、手詰まり。タエさんもなかなかいいアイデアが出ないなか、トキさんが控えめに手を挙げた。
「あの、僕がユメちゃんに接触してきましょうか?」
全員の視線がトキさんに集まる。
「できそうか?」
団長さんがそう問いかける。
「たぶんですけど。僕、気配を消すのは得意なので」
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