暗闇の中の世界。
いつも通る道なのにここまで変わって見える。
そんな世界の中で高校1年生 栗原 玲太は
アルバイトを終え、家へと向かっていた。
1月の冬なのでかなり冷えこんでいて白い息が 暗いのに見える。夏とは違い虫の音も聞こえず。涼しげな風が吹いているわけでもない。それなのに何故か美しく見えてくるのは何故だろうか、この日は曇っていて星も見えず余計に理由がわからなくなる。道を歩いていると公園があり、受験生の時に遊んだ記憶を頭の中で霧のように浮かべながら歩いていた。
しかしその霧もすぐに晴れることになる。
公園のすぐそばで、人が倒れているのだ
「大丈夫ですか?」
栗原は焦ってその人に駆け寄る。公園の外灯を頼りに周りを見渡す。
「女性だ」 栗原は声をかけても反応がないことを確認し、すぐに救急車を呼ぼうと携帯を学ランのポケットから取り出そうとした。
その時だった
「ん..ん?」 女性が目を覚ました。
「あ..?..ん?」まるで何が起こってるか理解していないような顔だった。
「大丈夫ですか?」
栗原は心配を顔に隠せていなかった。
そんな栗原を見て何かを理解したのか体をゆっくり起こし
「..あぁ..すまないねぇ…寝ちゃってたよ..」
目を擦りながら女性は言った。その言葉を栗原は一瞬理解することが出来なかった。
「ね、寝てた?…..ここでですか?..」
栗原は言葉に詰まりながらもなんとか質問をしたという感じだ。
「あぁ..そうだよ?私は確か昼間からここで寝てたねぇ」女性はニヤニヤしながらまるで自分がしていることに何か疑問を持つことなく淡々と話す。
「そういう君こそどうしたんだい?こんな所で….学生服着てるね?..学生かい?」
首を傾げながら灰原に問いだした。しかし灰原は質問を無視し、女性に返答した。
「寝てたって….こんな所で風邪ひきますよ!
あと家はないんですか?無いんでしたら…」
「ちょっと待ってよ、あたしは風邪なんてひかないよ。まぁひけないね…」
食い気味で答える。風邪を「ひけない」どういう意味なのだろう。その言葉に不思議に思ったが栗原はあまり気にしなかった。まぁ無事で何よりだ。灰原の心ではそれが一番だった。
「寒くないんですか?」
灰原は話を切り替えどうにか家に帰るよう説得しようとした。もし家がないなら泊めてやればいい。灰原は寮ぐらしではなく普通の一般家庭だが昔から困っている人を放ってはおけない性格である。
「寒さ?感じないよぉ..」
この人は最後の語尾に何となく伸びを感じる
「寒くない?凄いですね..こんなに冷えているのに…まるで幽霊みたいですね!」
言ったあとに少し後悔した。今の発言は人によっては失礼なのではないだろうか…すぐに言葉を訂正しようとした時女性が口を開いた。
「まぁ…幽霊だからねぇ.. 」
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