「とりあいず座ってください。」
栗原が座布団を用意した。そこによっこらしょとまるで歳をとった中年男性のように座る。
「すまないねぇ..わざわざ家に連れてきてもらって…」
「それに関しては大丈夫ですよ!いくら幽霊さんといっても外で放っておくわけにはいきませんから」
「幽霊さんは放っておくべきでしょ…」
さっきまで外にいた栗原達は自分のことを幽霊と呼ぶ女性を家に連れてきた。
栗原自身はもうこの人が本当に幽霊だと信じていた。正確に言えば信じざるおえなかった。
家に着き玄関で靴を脱ぎ丁寧に並べてまずリビングに行き母親に「ただいま」と一声かける。その時不意に後ろにいた女性が
「どーもぉ〜聞こえるかぁ〜い」
栗原は慌てるが母親は「おかえり」と一言言うだけだった。
「やっぱり聞こえないんだねぇ….」
幽霊さんは悲しそうな理解しているような。何ともない笑顔を栗原に向けた。その時栗原は理解した。幽霊さんは自分にしか見ることが出来ないし声も自分しか聞こえないのだ。栗原と出会う前はいつも独りだったのかもしれない。だからこそあんなところで寝てしまっていたのかしれない。どうせ誰にもみられないから。
「そういえば…幽霊さんって名前とかあるんですか?」
「あたしは名前なんて無いよ。生きてる時はあったのかもねぇ…」
懐かしい話をしているような素振りだった。少し青のような色が混ざった髪に常にニヤニヤしたような目つき ギザギザの歯 歳は..20代くらいだろうか?少なくとも栗原からは年上にしか見えなかった。老けて見えるという意味ではなく自分より大人用に見えるという意味で
「じゃあなんて呼べばいいんですかね?」
「なんでもいいよぉ。君が名付けてくれてもいい」
「そっかぁ….じゃあ幽霊さんで」
「え?このまんまじゃん」
「シンプルイズベストってやつですよ!」
「シンプルとか..もうそれ以前の問題じゃないかなぁ..」
栗原は相変わらず幽霊さんと呼ぶようだ
「そういえば記憶なくなっちゃったんですよね?」
栗原は幽霊さんの隣に座った
「そうだねぇ..もうさっぱりと」
「記憶取り戻したいですか?..」
「取り戻せるなら….まぁ..みてみたいね」
幽霊さんは栗原ではなくどこか遠くを見つめていた。その表情は切なくどこか優しさを感じる表情だった。
「じゃあ..僕が幽霊さんを見つけます」
栗原はなんの迷いも感じないような表情で言った。
幽霊さんはそんな栗原をちらっと見て特徴的な笑い方で答えた。
「クックッ…じゃあぁ..お願いしちゃおっかなぁ…」
ここから栗原達は幽霊さんの「存在」を探し始めた
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