テラーノベル
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最初から数えられていなかった。
存在の一覧に、それはない。
世界は何度も確認した。
脅威か、異常か、危険か、排除対象か。
だがどの項目にも、正しいチェックは入らなかった。
未定義は、何もしていない。
ただ、そこに在るだけだった。
攻撃が届いた瞬間
「攻撃される存在」という前提が崩れた。
剣は血を探して
血は、流れる理由を失った。
倒すという結果が出そうになると
“倒された痕跡”だけが切り取られ、消える。
誰かが言った。
「敵だ」
だが敵であるためには
敵として存在する許可が要る。
未定義は、それを申請していなかった。
世界は次に
「観測不可能」というラベルを貼った。
その瞬間
観測する側が、少し欠けた。
記録がずれて
歴史が一つ、理由もなく消えた。
未定義は気づかない、気づけない。
気づくための立場を、まだ持っていないから。
ただ、ぽつりと言う。
「みんな、私を見てたの?」
その問いに答えた者は
すでに見ていたことを忘れていたんだ。
最後に世界は
最も安全な処理を選んだ。
無視。
だが無視とは
「存在している前提」がなければ成立しないよね。
前提が消えた瞬間
世界のほうが先に、静かに壊れた。
未定義は、振り返らない。
振り返るという役割も
まだ、選んでいない。
コメント
2件
あなたはだれでしょうか 決められた途端、私は壊れてしまいます 今も、未定義という存在として決められてしまいました