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第32話『李牧の切り札』
丘の向こうから現れた大軍。
一万。
二万。
三万――。
果てが見えない。
秦兵たちの顔色が変わる。
「まだいたのか…。」
「こんな兵力を隠していたのか…!」
虹桃軍団も言葉を失う。
じゃぱぱが拳を握る。
「これが李牧の切り札。」
李牧本陣。
李牧は静かに戦場を見渡していた。
「麃公。」
「桓騎。」
「虹桃軍団。」
全て予想通り。
麃公が本陣へ突撃することも。
桓騎が裏をかくことも。
虹桃軍団が救援へ来ることも。
だからこそ。
最後に隠していた予備兵を投入した。
副官が笑みを浮かべる。
「勝負ありですね。」
しかし李牧は答えない。
なぜなら。
まだ桓騎が笑っていたからだ。
その頃。
桓騎軍。
桓騎は予備兵を見ても驚かなかった。
むしろ笑う。
「やっぱり隠してたか。」
摩論が尋ねる。
「どうするんです?」
桓騎は遠くを指差した。
「見てみろ。」
摩論が目を凝らす。
すると。
趙軍後方で黒煙が上がっていた。
「え?」
さらに別の場所でも煙。
また別の場所でも煙。
趙軍の補給地。
食料庫。
予備武器庫。
全てが燃えていた。
副官たちが青ざめる。
「まさか…。」
桓騎は肩をすくめる。
「予備兵を隠すなら補給も必要だ。」
「だから全部燃やしといた。」
李牧本陣。
報告が飛び込む。
「報告!」
「後方補給基地炎上!」
「第三補給所も炎上!」
「食料庫も失いました!」
本陣が騒然となる。
副官たちは顔色を変える。
だが李牧は静かだった。
「なるほど。」
そして初めて。
少しだけ笑った。
「やはり桓騎は危険ですね。」
一方。
戦場中央。
龐煖が再び動く。
狙いは麃公。
だが。
その前へ立ったのはなおきりだった。
「相手は俺や。」
龐煖の目が細くなる。
なおきりの後ろには虹桃軍団。
さらに麃公も立ち上がる。
「坊主。」
麃公が笑う。
「その槍。」
「なかなか面白ぇ。」
なおきりも笑う。
「将軍ほどやないけどな。」
その時。
戦場の反対側から歓声が上がった。
「飛信隊だァァァ!!」
信率いる飛信隊が到着したのだ。
李牧。
龐煖。
趙軍本陣。
それを包囲するように。
麃公軍。
桓騎軍。
虹桃軍団。
飛信隊。
秦側の主力がついに集結する。
決戦。
その文字が誰の頭にも浮かんでいた。
そして李牧は静かに呟く。
「いよいよですね。」
合従軍編最大の戦いが、ついに始まろうとしていた…。
#リゼロ
すず
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コメント
1件
いやー、これは痺れましたね…! 李牧が予備兵を隠していたのも見事だけど、それを読んで補給路を焼いた桓騎のしたたかさが本当に凄い。お互いの一手を読み合う駆け引きがもう最高です。そしてラスト、飛信隊も合流してついに決戦か…続きが気になりすぎます!