コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
rk「……拓実」
夜風がカーテンを揺らす、静かな部屋の中。淡い照明に照らされる瑠姫の瞳は、まっすぐに拓実を捉えていた。いつになく真剣な顔に、拓実は思わず息をのむ。
rk「世の中には……怖い人が、たくさんいるんだよ」
低く落ち着いた声。でもその裏に潜む感情は、鋭い。
rk「誰かに優しくされても、甘い言葉を囁かれても……絶対に、信じちゃダメ。……俺以外、信じちゃダメだよ、拓実」
言いながら、瑠姫の指がそっと拓実の頬を撫でる。その手は震えていて、どこか不安げだった。
tk「瑠姫くん……」
拓実が呼ぶと、瑠姫の腕がぐっと拓実の腰を引き寄せた。逃がさないとでも言うように、強く。
rk「守るよ、俺が。誰に何を言われても、奪わせない。たとえ拓実が俺から離れようとしても……絶対に、離さない」
その言葉は、まるで呪いのように甘く絡みついて、拓実の胸を締めつける。
tk「……うん。離れへんよ。瑠姫くんがいるから、怖くない」
拓実がそう囁いた瞬間、瑠姫の腕の力が少し緩んだ。
rk「……それが嘘でも、今はそれでいい」
キスするように近づいた声が、耳元で優しく囁く。
rk「でも、絶対に忘れないで。俺だけが、拓実を守れるんだよ」
そして唇がそっと重なった。夜の帳が静かにふたりを包み込む。瑠姫の独占欲と、拓実の無垢な信頼。そのバランスは危うくて、美しい。
けれどこの夜だけは、ふたりだけの世界が、確かにそこにあった。