テラーノベル
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「え、もう始まってんの!? やだやだちょっと待ってってば!!」
派手な声とともに、ドアが——いや、壁ごと爆音で吹き飛んだ。
「トーマートォォォ!!!!」
現れたのは、赤いパーカーにスカート、背中にでっかいライフルを背負った少女。
——とと。16歳。世界一トマトに愛された女(自称)。
「誰!?!?!?」
トオルが思わず素で叫んだ。
「……うるさいのが来た……」蕾が銃口を少しだけ上に向ける。
ととは、パッと部屋を見回して、満面の笑顔で叫んだ。
「ねえ!! みんな生きてる!? 元気!? あと、トマト食べた!?!?」
「食べてないですけど……あの、どちら様……?」
カナデがそっと問いかけると、
「わたしは“とと”!世界を救うトマトの使者!」
「嘘でしょ!?役所の名簿に載ってなかったぞそんなの!?」
「ていうかトマトって何……?食料枠??武器??」
「ちがうよ!?トマトはね、心をつなぐ食べ物!!」
\ドゴォン!/
その瞬間、またしても壁から黒いノイズの塊が飛び出してきた。
「うっわ!またアイツ!ノイズきたー!!」
蕾が即座に動き、銃を構えるが、ノイズの数がさっきより多い。
トオルが叫ぶ。
「いやちょっと!?数多くない!?このままじゃ俺、死亡でしょ!!?」
「泣きそう……」
カナデは背中を壁に預け、腕を抑えながらしゃがみ込む。
そのとき——
「いいよ、あたしに任せて!!!!」
ととが、勢いだけでライフルを構えた。
「出たなぁ!トマトの敵ィィ!!」
——パン!パン!パン!
無駄にいい音をさせながら、意外にも正確な射撃がノイズを撃ち抜いていく。
一体、二体と崩れていく黒い影。
「うおおおおおお!!すごい!!ていうか当たってる!!」
「トマトは!世界を!救うんだってばぁぁぁぁ!!!!!」
残った1体に、蕾がトドメを刺す。
——静寂。
破壊された部屋の中心で、勝ち誇ったように、少女は拳を突き上げた。
「勝ったぁぁ!トマト最強ぉぉ!!!」
「ていうか……あなた、なんでそんなに強いの……?」
カナデがぽつりと呟く。
ととは、少し黙った後、苦笑いしながら言った。
「……あー、うーん……強いっていうか……」
「……ほんとはさ……怖くて仕方ないの」
声が、一瞬だけ、静かになった。
「ほんとはさっきだって、逃げたかった。だけど……黙ってると、どんどん自分がどっか行っちゃいそうで……」
「だからね、元気なふりしてるだけなんだ、ずっと。」
その言葉に、カナデはハッとした。
トオルは、破れた手帳を見ながら、何も言わなかった。
蕾もまた、視線だけをそらしていた。
そしてととは、パッと笑顔を作って、言った。
「だからさ! みんな! 落ち込んだらトマト食べよ!? 元気になるよ!?!?!?」
「……うるさいけど、なんか憎めないなこの人……」
トオルが苦笑いで呟いた。
「トマトは……食べたくないけど……ありがとう……」
カナデが、少しだけ笑った。
蕾は何も言わなかったが、銃の安全装置をカチッと戻していた。
コメント
7件
私はトマト、好きだぜ?(?)
とぉぉぉまぁぁぁぁあとぉぉぉぉ!
今回も神ってましたぁぁぁぁぁぁあああ!!!!! いやん可愛いうちのカナデたん❤((? トマトは嫌いです。......トマトは嫌いです。大切なことなので2回いいました(?) うへへ今回も最高ですな、栄養をありがとう( ◜ω◝ ) 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいぃぃぃ!!!!!!!!