TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

一つ屋根の下、地雷注意報

一覧ページ

「一つ屋根の下、地雷注意報」のメインビジュアル

一つ屋根の下、地雷注意報

22 - 第二十一話:「夜に溶ける」

♥

42

2025年05月20日

シェアするシェアする
報告する

時計を見たら、もう3時を過ぎてた。
スマホをいじっても、動画を流しても、

目だけがずっと冴えてる。


ふと、隣の部屋の襖が、すっと開いた音がした。


るかだった。

パーカーを羽織って、髪は結ばずぼさぼさのまま。


「……眠れない」


ぽつんと、まるで天気の話をするみたいに言う。


俺は布団の上でスマホを持ったまま、目だけ動かして返した。


「俺も」


それだけで、しばらく沈黙。


でも、なんとなく、そのまま外に出ることになった。



夜道は、人っ子一人いなかった。


街灯の明かりが、アスファルトの上にふたり分の影を並べていた。


るかは、自販機で買ったカフェオレを片手に持って、

それを口に運びながら、無言で歩いてる。


「……別に話したいことあるわけじゃないんだけど」


いきなり、るかがそう言った。


「でも、部屋にいるよりマシ」


俺は缶コーヒーを片手に、横を歩きながら言う。


「わかる」



少し歩いた先の公園で、ふたり並んでベンチに座った。


るかは脚を抱えるようにして座って、空を見ていた。


「……たまにこういうの、いいかもね」


「何が」


「意味のないこと。だらだらしてるだけのやつ」


「それしかしてないだろ、俺ら」


るかは、くすっと笑った。


それは、ほんの一瞬の、無防備な顔だった。



カフェオレの缶が空になる音がして、

るかは立ち上がった。


「……帰ろ」


俺も立ち上がって、ベンチの背伸びをしながらつぶやいた。


「次、朝まで眠れたらいいな」


「それは無理」


「だろうな」



ふたり、また並んで歩く。

街灯の下で、少しだけ影が重なってた。


loading

この作品はいかがでしたか?

42

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚