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ホオズキは死神。
よくわからないが死神が私利私欲のために魂を刈り取ると、その魂は強制的に天国行きとなってしまうらしい。
つまり、ホオズキが私を殺していたら私は今頃天国のお花畑で平和に暮らしていたかもしれないのだ。
「天国に行くと転生のオプションサービス付きだぜ? また人間のしがらみにとらわれるなんて御免だろ?」
まったくもってその通りである。
私はもう人間関係のトラブルに巻き込まれたくない。
これからはホオズキと一緒に幸せなセカンドライフを送るのだ。
「それで? まだここにいる?」
ホオズキに聞かれ、私はもう出ようと言った。
私たちは建物の天井をすり抜けて、表に出た。
空は満点の星空。
宙に浮いているせいか、手を伸ばせば星に触れることもできそうだ。
私には首から上しかないけど。
「今夜は誰から仕留めるの?」
私の問いに、ホオズキは黒い本を開いた。
黒い本の中にはこれから死にゆく人の名前が記されているんだって。
「お前を苦しめたやつらはみんなもれなく修羅道行きだとさ。楽しい魂狩りの時間がくるぞ」
ホオズキはぎゃはははははと笑った。
かなりいかれた奴だが、私を救ってくれた唯一の奴。
私はもう人間じゃないから、人間がどうなろうと知ったこっちゃない。
これから先が楽しみ。
私はこの時、生まれて初めて(死んで初めて?)心の底から笑顔を浮かべていたと思う。
「んじゃちょくっら飛んでけっ!」
ホオズキは私のことをほうりなげた。