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『影の姫、月の子』

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『影の姫、月の子』

11 - 面倒なプライド

♥

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2025年09月22日

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静けさが戻った奴良組の座敷。若菜の膝に頭を預けたまま、レンはまだ赤く潤んだ瞳を閉じていた。

牛頭丸と馬頭丸は気まずそうに立ち尽くしている。


――その時。


「……レン」


障子の向こうから、少年の声が響いた。

リクオだ。


「っ……!」

レンの体がぴくりと震える。慌てて涙の跡を袖で拭うが、隠しきれない。


「リクオ、今は……」

牛頭丸が言いかけたが、リクオは静かに首を振った。


「少しだけ、話したい」


若菜はレンをそっと見つめる。

「大丈夫?」と視線で問いかけると、レンは唇を噛みしめて小さく頷いた。


障子が開き、リクオがゆっくりと入ってくる。

彼の眼差しは真っ直ぐで、けれどどこか不器用な優しさを帯びていた。


「……その、さっきから聞こえてた。泣いてたんだろ」


「ち、違っ……!」

反射的に声を荒げるレン。しかし震えた声では説得力もなく、牛頭丸と馬頭丸が視線を逸らす。


リクオは苦笑した。

「無理に隠さなくていい。俺だって……泣きたい時はあるし」


「……っ」

レンは言葉を失う。


沈黙が流れる中、リクオが一歩踏み出す。

「俺、本当は……ずっと仲良くしたいと思ってる。姉さんだから」


その言葉にレンの胸が大きく揺れる。

けれどすぐに顔を背け、震える声で吐き捨てた。

「……うるさい。勝手に弟ぶらないで」


強がりの言葉に、若菜は心配そうに見守る。

しかしリクオは動じず、ただ柔らかく微笑んだ。

「……そっか。でも、俺は諦めないから」


その一言に、レンの心臓が跳ねた。

(なんで……そんな顔で言うのよ……)


胸の奥が熱くなるのを必死に抑え、レンは視線を落とした。

「……勝手にすれば」


それ以上は何も言えなかった。

けれどリクオの言葉は、確かにレンの心に届いていた。


『影の姫、月の子』

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