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(白鳥沢との試合後に飛びます)
私と谷地さんは、2人でドリンクを洗いに水場に向かっていた。
『勝ったねー!!』
「はい!」
『てか、白鳥沢強かったねー!』
「ですね!」
「あの牛島って人、もうビュンッて!」
『ビュ…? た、確かにねー!』
『私が印象に残ったのはあの人かな、』
『あのー、赤い髪の5番!』
「あの人もびっくりしましたー!」
『ね。ブロック凄かったなー、』
雑談しながら水場に着いてドリンクを置くと、谷地さんがお手洗いに行った。
私が1人でドリンクを洗っていると、後ろから聞き覚えのある声がする。
「ドーモー!例の5番でーす」
『えっ、えっ!!』
そこに居たのはさっき話していた白鳥沢の赤髪さん。
「ちなみにオレ、天童ね。」
『あ、はい!私、西川、ゆりです。』
「オレのこと話してたよネ?話してたよネー」
「うんうん。やっぱ凄いよネー、ブロック。」
『え、あの』
どんどん話していく天童さんに、私は置いていかれる。
「いやー、凄いよネー!」
「烏野の人達、見事に止めちゃってネー!」
(な、何だこの人…)
『そ、そうですね…?』
「いやー、やっぱゲスブロック!」
「サイコーだねー、ぬん!」
『ぬ、ぬん?』
言動も行動も変なせいか、周りの人が天童さんに視線を集めている。
すると、こんな声が聞こえてきた。
「あいつ、なんか変じゃね?」
「なー。気持ちわりー。」
(…はい?)
私は混乱しつつも、その人たちのどんどん止まらない言葉にムカつく。
言われている天童さんはなんの変わった様子もないが、私は天童さんの腕を掴んで人目のないところまで歩いた。
「ナ、ナニ?!」
『すみません。失礼な人がいたので。』
「失礼って…あの人たち?」
「ははっ笑 イーヨー。慣れてるし。」
(…何それ。)
天童さんの発言に、私は痺れを切らした。
『…慣れる必要なんか無いです!!!』
『絶対にあの人たちが悪いし、』
『私は天童さんに悪口を言う人はすっごく!嫌です!!』
私が言い切ると、天童さんはとても驚いたような顔をしていた。
「……え?」
「それ、俺に言ってる?」
『はい!!』
「…そ、っか。」
「ゆりチャンにとって、俺ってどう見える?」
『まっったく!気持ち悪くなんかないです!』
『バレー上手くて、メンバーと仲良くて、優しくてかっこいいです!』
「…そう、なの?… そうなの?!」
『そうです!!』
天童さんは、またも驚いた顔で固まったかと思えば、次の瞬間ふにゃふにゃな笑顔になっていた。
『す、すみませんでした。ムキになって…』
「え…、あうん。」
『待たせてる人がいるので、失礼します!』
「あーうん。またね」
『は、はい!』
(また…?)
天童さんを背に、私は谷地さんが待っている水場へ戻って行った。
<続く>