TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「この川にね、夜、女の子の幽霊が出るって噂でね」「幽霊?」

「ほら、だから言ったろ」

だがアスミはダイの目をしっかりと見た。


「もうこれは僕が高校生の頃の話だ。この幽霊の話が出たのも」

「そんな前から」

「ああ。これはとある夜。僕の元に幼馴染の女子から連絡が来たんだ。ここに来てくれと」

ダイはじっと川を見ている。幽霊の話とダイの話はどう繋がるのだろう、アスミは彼の横顔を見た。


「幼馴染の咲希、高校も同じだった。クラスは違うんだが……幼馴染といってもずっと同じ幼稚園から高校まで同じで。中学の時にようやく話をするようになった。僕の遺失物を拾ったということがきっかけでね」

「そうなんだ。友達、という感じ?」

「そうだね、クラスも多かったからね。人数も多いから……」

まだダイは話を続ける。


「いつかは会いたい、そう思ってわざと落とし物をしたってのもあったけどね」

「え、ダイってそんなことするの」

「……好きな人だから、そうするしかないかなって」

「大胆」

「へへ……てかこうして君を連れてこうやって話すこともかな……。それからすぐ仲良くなった。だったらもっと早く出会いたかったなぁってね、僕らの共通点は小説を書くことでね」

「書く……読むじゃなくって?」

「珍しいだろ、まさか彼女もそうだったなんて。驚いたよ」

アスミは読むどころか書くこともしない故に何かダイとは住む世界は違うのかとふと思った。


「一眼見た時から素敵な人だと思ってたのに彼女の小説読んだら彼女の小説のディテール……細やかさは本当に素敵で、さらに僕は彼女にのめり込んでいった」

「そんなに素敵な人なんだ。咲希さん」

「あぁ」

目を細めて遠くの方を見るダイ。アスミはその目線の先には何があるのか。そしてこの川の噂話は何なのか、どう結びつくのか、自分も何か一つの物語の一部に踏み入れているそんな感覚だった。




loading

この作品はいかがでしたか?

14

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚