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「図書館で互いのおすすめの本を交換したり遠くの図書館に行ったり、本屋巡りもした」

「デートじゃん」

「そうだよ、僕は少なくともそう思ってた」

「僕は……」

アスミはそこに引っかかった。

「そう、僕はね」

ダイの目は瞬きもせず真っ直ぐ見ている。するとふとアスミは気づいた。自分の手はダイの手を握っていた。無意識だった。


「彼女に呼ばれたんだ。ここに来て欲しいって」

アスミはここ、と聞いた瞬間に何かひんやりとしたものを感じた。


「こんな暗い時に?」

「そうだね、こうやっていきなり電気が灯されることもなかったとき」

電気は消えた。


「駆けつけたさ、こんな夜にメールで『お願いだからはやく』って」

「そりゃ心配よね」

アスミはますますハラハラしてきた。

夜中に意中の相手から助けを求められ、襲われた、そのキーワードだけでも不穏でしかない。


「駆けつけるとあそこに車を置いたように車が置かれていた。黒い車」

「彼女は?」

「ここに立っていた」

ゾワッとするアスミ。


「どうしたんだって答えたんだが彼女は涙を流してここに立っていた。だが車を指差したんだ」

「その車は誰のものなの」

「その指差す車の窓から覗いたんだ」

「……」

「その中に1人の男が横たわっていた」

アスミは声が出なかった。

あの夜に教えてくれたこと

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