私
の名前はアネモネ。
私は、この世界の理から外れている。
私は、普通の人間じゃない。
私は、化け物だ。
私は、人殺しだ。
私が生きていることで、多くの人が不幸になるかもしれない。
私のせいで、大切な人が死んでしまうかもしれない。
だから私は……生きることを止めた方がいいのかもしれない。
それでも私は、まだ生きていたいと願っている。
だって、生きてさえいれば幸せになれることを信じていたいから。
***
──それは、突然の出来事だった。
いつものように私は、村の近くにある森の中で薬草採取をしていた。
今日は何本くらい採れるかな? 今年はまだ一度も咲いてないよ。
来週あたりには咲くんじゃねーか? もうすぐだよ! きっと咲くよね!! そうだといいわねぇ。
このところ天気が崩れてばかりだからなぁ。
そろそろお日様を見たいわ。
そういえば去年の秋頃もこんな感じだった気がするけど……
なんかあったのかしら? また雨続きになるのは嫌だわ。
もう梅雨明けたよね!? この夏こそ海に行こう! ねぇ、夏休みどこか行かない? 来週からテストだし勉強しないとなぁ。
明日は何時に起きようかな。
そろそろ新しい水着買おうっと♪ さっきまで晴れてたのに。
今日は一日降ったり止んだりみたいよ。
あーっ、雨ばっかりでイヤんなる!!……え? なんの話だっけって? そうそう! 今年は梅雨明けしてからずっと快晴だったんだけどさぁ〜……とうとう昨日から降り出したんだよねぇ、雨が!!! もうほんっと最悪ぅ~(>_<)
せっかく今日は体育祭の練習日なのにぃ。
だってぇ、今日の練習が終わったら夏休みまで部活ないんだよぉ!? だからこの晴れた天気のうちに少しでも練習したいじゃん? てゆっかさぁ、今日こそ絶対勝ちたいよねぇ♪ あたしたち3組には陸上バカがいるから、陸上部が相手じゃなきゃぜったい勝つ自信があるもんねっ☆ それに比べてうちのクラスときたらさぁ……(-_-;)
なんか最近ちょっとやる気なさすぎじゃない? どいつもこいつもボーッとしちゃって。
このままだとホントに負けちゃうかもしれないよね。まあ、うちのクラスの連中なんてそんなヤツばっかだけどさ。
それにしてもさぁ、あの女だけは許せないよねぇ……
だってあいつのせいでせっかくのお祭り気分が台無しになったんだもん!!
***
先週の土曜日の昼休みのことだよ。
その日は朝から雲一つない青空で、絶好の体育祭日和だったの。
グラウンドでは、陸上部が練習している。
この学園の生徒の大半は帰宅部だが、部活動には熱心だ。
俺こと天海真也はサッカー部に所属している。
サッカー自体は好きなのだが、運動全般が得意でない俺はレギュラーになれない。
それに今はテスト期間のため部活はない。
「今日は何して遊ぶ?」
「うーん……昨日やったRPGまたやりたい!」
「いいね!じゃあ、さっそくゲーム屋さんへ行こう!」
「待てよ。まずは腹ごしらえだろ?」
「そういえばお昼まだだったもんね~♪」
「今日は何を食べようかなぁ……」
(……あれ?)
ふと思った疑問を口にしてみる。
「ねぇ、2人とも」
「ん?どーしたの?みかちゃん」
「えっとね……みんな、好きな食べ物とかあるの?」
「俺は俺だ!たとえ記憶を失っても!」
リセットボタンはないけどね。
セーブ&ロード機能もないみたいだし、 人生ってハードモードだよねぇ~。
それでも……キミは進むしかないんだよ? 諦めるか……それとも乗り越えられるのか。
キミ自身の力で答えを見つけてよ? ボクにはそれができないからさぁ。
あーあ。早く見つけてくれないと退屈で死にそう。
「この命は貴方のためにあります……」
「私が仕えるのは、ただ貴方様だけです」
「だからどうか……お傍に置いてください」
「私のすべては……貴方のものです」
忠誠の言葉とともに差し出される、白い手に握られた短剣。
「……お前の命を奪うことになっても?」
「はい」
「それで本当に良いのだな?」
「もちろんです」
迷いのない瞳がまっすぐにこちらを見つめている。
ならばもう迷うことはない。
「わかった……では共に行こう」
血塗られた道を歩む覚悟を決めよう。
今度こそ守るために。
「……かしこまりました」
恭しく頭を下げる少女の手を取り、ゆっくりと歩き出す。
目指す場所は、まだ遠いけれど―――。
「ふぅん、君ってこういう子がタイプだったんだ。意外かも」
「ちげぇわボケ!!誤解を招くような言い方すんじゃねえ!!」
「えっ違うの!?じゃあどんな子が良いわけ?やっぱりボンキュッボーンみたいな感じの子?それとも清楚系?あ、もしかしてロリコンとかショタコンだったりする?
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