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第9話 目標
「アグラン〜、おはよーさん」アグランは朝、学校に着けばイエンが眠たげな様子でコチラまで近寄ってきて挨拶をかけた。
「あぁ、おはようイエン、眠そうだな」
「そりゃそうだよ、俺今日の宿題やり忘れたの思い出して夜更かししてたんだよ」目は開いていない、前の席に腰を下ろせば背もたれに肘を置いて頭を乗せる。その体制になった途端元々完全に開いてなかった目が余計に落ちてきてイエンはその場で眠ろうとする。
だがアグラン自身は別に構わなかったのでそのまま放っておいて、持っていた魔導書を開いきじっと内容を見つめた。
その話は1人の小さな女の子が天使から民を救う話、この話は図書館にあったもので小さい子に母親が話す御伽噺のようなもの。アグランは久々に気になって手に取ったようだった
「懐かしいな」と一言ぼやく。
…
しばらく読書に夢中になっていた、その時騒がしかったクラスの中で1つ気になる話をしている女子グループの話が耳に入ってきた
「ねぇ聞いて、1ヶ月後に騎士団審査があるらしいよ」
「えーなにそれ、どんな審査?」
「それがね、騎士団の試験場に実際に行って各隊長の前で戦闘するらしい、そこでどこの騎士団に所属する可能性があるかを各隊長達の前で戦闘して決めるらしいよ」
「なんの意味があるの?私たちまだ1年でしょ?」
「いや、詳しいことは私も知らないんだけど、一年に一回必ず行うらしいよ、あと先輩から聞いたのはそれに合わせて訓練内容とかも決めていくらしいの」
「なによそれ、凄く気合い入るわ!」
「審査、そんなのあったのか。」アグランは全く予定の確認をしてなかった様でそんなことは頭の片隅にすらなかったらしい。そう考えると本を読んでる暇なんてないと考えたのか席を思い切り立ち上がればイエンを叩き起し訓練所へと向かう
ー訓練所
「いやなんだよ、急に起こされたと思ったら突然特訓だなんて」
イエンは寝起きの眠そうな表情で長槍を持っている。目を擦り、ウトウトとしているようだ、そんなイエンに対しアグランは長剣で容赦なく飛びかかる。
「うおぁ”!!」目の前に来た瞬間長槍で長剣の刃を弾き返し、よろめきながら後退する。
「な、なんだよアグラン!!」とイエンはアグランの行動に戸惑いながらも長槍を構える、そんなイエンに対しアグランは容赦なく飛びかかり、剣を振り下げる
「1ヶ月後、騎士団審査がある」そう言えばイエンは驚いた表情を浮かべアグランを奥に突き返して後退する。
「んな、騎士団審査って騎士団長全員の前で戦闘を行うと言われてるあれか!!」その言葉にアグランは首を縦に振る。そしてイエンはその話とこの状況に納得が言ったように「あぁ…」と1つ声を漏らした
イエンは改めて長槍を構える。そして
「よーし、来い!アグラン!お前の鍛錬に付き合ってやる!」と応え、ニコリと笑った。アグランも笑顔を返せば「行くぞ」と剣を構え、イエンに向かって剣を振るうだろう
彼らの鍛錬は休みの合間を縫って1ヶ月まるまる続いた、彼等には目指すべき目標があったから。
もちろん先ずは騎士団に入ること、そして次の目標は騎士団のそれ以上の地位になる事だ、つまり彼らは各団体の「騎士団長」を目指している。可能性は薄いがその上の”セイクリッドフォース”というのも、彼らの夢。いや騎士団員全てが願う夢だろう。
セイクリッドフォースというのは選ばれた4人、地球の人類の中で最も強いメンバー4人の事を言う民達からは偉人と言われ、神に変わって崇められているとか。そしてその4人組は東西南北、各場所に1人づつ健在する。ちなみに、この国は西に存在し、セイクリッドフォースは「ウェスディアン」になる。
ーーー
そして1ヶ月が経ったその日───
「アグラン!起きろ、起きろ!!当日だぞ、騎士団に集まらないと」朝5時、イエンはアグランを起こしに部屋へとやってきた。そして現在アグランを揺すって起こしている最中である
「ん”んー…?」目が覚めれば軽く目を擦り、その場からゆっくりと起き上がる。するとイエンはアグランの腕を引っ張り、クローゼットから正装服を取り出して彼に身につけた。後にそのまま洗面所へと向かわせ顔を強引に洗い、昨晩既に作ってあったであろう食事をアグランの口にねじ込んで歯磨きをさせる。
と、慌ただしい朝だ。
、、、
「…うっ、歯磨き粉と飯の味が混ざってまずい…」そんなアグランを見てイエンは早く起きないのが悪いとツンとした態度で言葉を返す。そして扉を開け外に出る。外は生徒達で賑わっていて、列を成していた。その列の先にはフォレスがあった。
「これみんなうちらの生徒か、相変わらず人数が多い事だ」イエンは額に手を添えて嫌そうに表情を歪める
「こりゃ暫く待たないとだめかな」そんなことを言えばアグランがイエンの肩に手を置けば1枚の正方形の紙を取り出す
そこには魔法陣が書いてあり
「これ。あるじゃん」と言う。それは昨日授業で習った術、瞬間移動の出来るといったフォレスと同じような力を持つ代物だ。
イエンはそれを見て「あー!」と思い出したように握り拳を掌に打ち付ける。そして同じくポケットから取り出せば地面へ置き、揃って転移!と言葉を放つ、するとその場から魔法陣が光出し、2人の姿は消えるだろう。
そして転移してきたのは騎士団の中だ。
「へぇ、もうこんなに集まってるんだ」中はガヤガヤと騒がしい、その中にはこんな声がある
「第3階級団長さんと会えるのね…やっとご本人様に…!」
「第5階級団長のご尊顔をやっと拝めるのか!!」
「なんだ、あれ」
「あれは推し活だよ、俺らみたいな学園に通ってる奴らの一部では憧れの騎士団長ってのがいるみたいだぞ」
俺らは中に歩を進めていきながらそんな話を交わしていた、そしてアグランはふぅーんと興味のなさそうな返事を返す。
そして試験場の真ん中辺りで足を止めれば、当たりを見渡す、そこは1階と2階で分かれていて2階からは1階が見渡せる形状になっていて、そこには豪華な椅子が置いてある、左側には7つの黒い席、右側には白い7つの席だ。
「あそこが隊長たちの座る席か」アグランはボソッと呟けば俺の隣に立っていた眼鏡をかけた女が「そうですね」と言葉を返してきた。その女へ視線を送ればただ真剣な眼差しでジッと2階を見ていた。そしてその女に声をかけようとした瞬間、トランペットの音と共に騎士団の服を纏った人物が正面にあった大きな扉の横で声を張って聞こえるように
「これより騎士団審査を開始する、団長方に誠意と実力を見せ世界を守る騎士となれ」と言った。そして反対に居た人物は「騎士団長の御成!!」と言えば扉が開いた───