「なんで、?」
淡乃は俯いて頭を抑える
『は……?』
「なんで、君だって全て失くしてるのに、なんで、君はそんなに真っ直ぐなの……、?」
『あ、わの……、?』
「おかしいよ、!ずるいよ!!僕だって、僕だって真っ直ぐいたかった!!!歪みたくなかった人を信じたかった好きになりたかった!!!」
戸惑う燈和野は無視して淡乃は叫んで涙でぐしゃぐしゃになったまま睨みつけた。
なんで、どうして、と、繰り返し泣くように叫んでいる
『淡乃、淡乃っ、、どうしたんだよ、なぁ、』
「うるさいっ!!ッ、君は暖かい施設で育って、色んな人と出会って関わって人を愛して愛されて笑って!!なんで、僕はそうなれなかったのかなぁ……、?」
『き、みだって、愛する人と、暮らしてるじゃないか、』
「あの人はっ!!あの人は、死んだ奥さんと…クロックの、こと、忘れられないから、、ぼくは、ぼくじゃなくても、あの人は……でぃーさんは、、、」
いつも明るく笑う赤と紫の瞳は黒くドロドロと渦を巻いているように見えた
「ねぇ、なんできみだけしあわせなの……、?」
『はぁッ、!』
ドッと冷や汗をかき飛び起きる
窓の方へ目をやると既に朝で
先程まで見ていた夢の内容が段々とあやふやになっていく
『あわの…、』
震える声は静かに部屋に響いて消えた
素直で真っ直ぐで……愚直な青年は
朧気になりつつも、いつもボロボロで精一杯な友人に言われた言葉を抱えて
また今日も、彼の傍で笑った
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