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「卒業おめでとう、燈和野くん」
『淡乃も、入学おめでとう。』
僕は高校へ進学し、燈和野くんは社会人になった。
まぁ社会人といっても総合格闘技の選手なんだけど
僕は相変わらず施設で酷い生活で、高校も近場のところだから中学とそう変わらないなぁ、と憂鬱ではあるけど、その分燈和野くんが居てくれる安心感も確かにあって
「大会とか活動が忙しくなったら、なかなか会えないね」
『……毎日は難しいが、またすぐに会いに来る。君は目を離すとすぐ怪我をしているしな。』
「えへへ…」
こうやって当然のように「会いに来る」といって、彼はそれを実行することを知っているから信じられるし安心できた
「おい叶夢、放課後ちょっと付き合え。」
「ぇっ、ぁ、先輩……えっと、今日は、友達と約束があって……」
嘘だ、今日は燈和野くんは来られない。
他県へ大会に出てて、彼は僕のことを気に止められるほど暇じゃないから
「は?友達?俺より大事な用事とかねぇだろ、なぁ、叶夢?」
「っ、ゃ、……はぃ、」
あー、何されるんだろ
結局断れないし、僕情けな、かっこわる…
リンチかな
根性焼きってやつ?
パシリとか痛くないやつならいいけど……
「あの、先輩、なんでこんな、っ?」
「あ?……黙ってりゃわかる。」
「えっと、あの、ゃ、めてください……ッい”や、!!」
放課後ほぼ拉致のように先輩に連れられては体育館倉庫に入れられた
暴力かなにかかと怯えていれば押し倒されまさぐられる
「(なになになになに無理やだなんなの…?!)」
必死に体を押し返すが体格的に敵わずほとんどされるがまま
必死に「いやだ、はなして」と泣きながら声を張るが、この学校に僕を助けてくれる人なんていない────
ベキャッ
「へ、?」
「あぁ…?」
鉄が折り曲がるような音がしたと思い先輩の肩越しに見やると
夕日の明るさで表情は分からないが、鉄の扉を蹴り飛ばしたのであろう燈和野くんが立っていた
『……おい。何してる。』
「はっ、?!だ、れだよてめぇ!!」
『淡乃に、何してんだって聞いてんだよ。』
先輩は静かに歩いてくる燈和野くんに怯え勢いよく上から退いたと思うと直ぐに倉庫から逃げ出した。
「ひ、わのくん……、」
『…淡乃、遅くなってすまない、怪我させられる前に来られてよかった、』
彼は僕の傍に膝を着いて上着を肩にかけてくれた
謝るその表情は僕よりも傷つき悲しそうで、
「(あぁ、僕にも、大切に思ってくれる人がいたんだな、)」
そんな暖かい気持ちで溢れて、同時に子供のように大泣きしてしまったのだった