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その日は珍しく耳が痛むほどに静かな夜だった。
辺りは闇にのまれ、風の音一つしない。
僕は裏路地の貧民街で生活している。ここは、法律などあってないようなもので毎日のように銃声が鳴り響いている。
「、、今日はやけに静かだな」
いつもなら親が酒がないだのヤクが切れただの言って騒ぎ立てているのに、その日はやけにおとなしかった。
(まぁ、そのほうが助かるけど、)
僕は空腹感を感じ、親を起こさないように冷蔵庫へと歩く。
冷蔵庫を開ける、そこには何もない。きっと親が全部捨ててしまったんだろう。
(消費期限切れのやつがほとんどだったもんな、)
音を立てないように冷蔵庫を閉じる。菓子パンが棚にあったことを思い出し、棚へと向かう。
(どこだっけ、)
棚の戸を開き、中をあさる。あさってもあさっても出てくるのは、虫の死骸やほこりばかり、ふと、ごみ箱を見てみると
そこには無造作に破り捨てられた菓子パンのパッケージが捨てられていた。親が食べてしまったのだろう。
空腹感を紛らわせるために、僕は外に出た。
辺りは街頭に照らされ、薄暗い空間が広がっている。
しばらく歩くと銃声が聞こえてきた。
(ここ、抗争区域だったんだ、)
僕は来た道を戻った。こんな生活を送っているが、僕だって死にたいわけじゃない。
人並に恐怖だって感じるし、生に執着しているつもりだ。
その時、後ろから声をかけられた。
???「君、名前は?」
太宰side
その日はとても騒がしい日だった。
あちこちから銃声が飛び交っている。
ここは裏路地の貧民街で、法律などあってないようなものだ。ここに来た理由は二つある。
一つは、ポートマフィアの領地を荒らしている阿呆共の始末、もう一つは、ある子供を連れ帰るためだ。
~数時間前~
森鴎外「太宰君、君に任せたいことがある。」
「なんだい森さん、先に言っておくけど面倒ごとはごめんだからね。」
森鴎外「裏路地の貧民街にポートマフィアの領地を荒らしている輩がいるんだ。その輩を始末してきてくれないかな?」
「私は面倒ごとはごめんだと言ったはずなんだけど」
森鴎外「それともう一つ、こっちが本命だ」
「私の話聞いてる?」
森鴎外「この子を連れ帰ってほしいんだよ。」
森さんは私に一枚の写真を見せてきた。
「誰だいこの子」
写真には一人の子供が映っていた。
その子供は大体10~12歳ぐらいの大きさで、子供が着るには大きすぎる白いTシャツを身にまとっていた。
髪は手入れされていないらしくぼさぼさで伸びまくっていた。
「森さん、こんな趣味あったの」
森鴎外「違うよ、」
森さんは苦笑しながら答えた。
「じゃあなんで?見たところ異能者でもなさそうだし、戦力になるとは到底思えないけど。」
森鴎外「その子の親が私に借金をしていてね、払えないから代わりにこいつを連れていけって言われたんだよ。」
「とんだ屑も居たもんだね」
森鴎外「じゃあ、頼んだよ、太宰君、あ。そうそう」
部屋を出ようとする私を森さんが何かを企んでいるような笑みを浮かべながら呼び止めた。
「なんだい森さん、」
私は嫌な予感がした。だって、森さんがあの笑みを浮かべるときは、大抵ろくな提案をしないから、
その時、部屋のドアが叩かれる。
???「失礼します。」
嫌な予感が的中した、
中原中也「ボス、要件というのは、あ!手前太宰!何でここに!」
中也は私を見るなり騒ぎ出した。
「君こそなんでここに?」
中原中也「俺はボスに呼び出されて、」
森鴎外「今回の任務は君たち二人で行ってもらうよ。」
森さんは満面の笑みで私と中也を見る。
「「はぁ!!?」」
~現在~
「はぁ、なんで私が中也なんかと、」
中原中也「それはこっちのセリフだ青鯖野郎」
私と中也は嫌々ながら任務を遂行している。阿呆共の制圧は終わったからあとは写真の子供を見つけ出して連れ帰るだけだ。
中原中也「おい、次は何すんだよ」
中也が不機嫌そうに私に尋ねる。
「ちょっと話しかけないでくれる?今呼吸で忙しいから。」
中也が何か騒いでいるが私はそれを無視して写真の子供を探す。
見つけた。
まさかこんなに早く見つかるとは、
中原中也「おい太宰!手前どこ行くんだよ!」
中也の静止を振り切って子供の元へと歩み寄る。
「君、名前は?」
玲、と子供は答えた。この子で間違いない。
「中也、この子連れて帰るよ。」
中原中也「あ?なんでガキなんか連れて帰るんだよ」
「いいから」
中原side
太宰治「中也、この子連れて帰るよ。」
「あ?なんでガキなんか連れて帰るんだよ」
太宰治「いいから」
太宰はそう言うと10~12歳ほどのガキを連れて歩き出した。
俺は舌打ちをして太宰の後ろを歩く。
ポートマフィア本部に帰り着き、任務終了の報告をするためにボスの部屋に入る。
「失礼しま「エリスちゃ~~ん!この服着てよ~~~!!」
部屋に入ると、ボスが赤いドレスを持ち、幼女に縋っている姿が目に入った。
森鴎外「お願いだよエリスちゃん!一瞬!一瞬だけでいいから!」
エリス「かわいい服を着るのは嫌じゃない、リンタロウのその必死さがいや!」
気まずい、なんと声を掛けたらいいのかがわからない、
太宰治「森さん、またやってるの」
太宰が慣れた様子でボスに話しかけた。
少しの間、沈黙が流れる。とても気まずい、
十秒ほどするとボスの部屋の大きな窓のシャッターが下りて、部屋の中が真っ暗になる。
部屋の照明がつくと、そこにはいつものボスがいた。先ほどの幼女はどこかに姿を消しているようだった。
森鴎外「君たちは何も見ていない、いいね?」
「、、はい、何も見ておりません。」
太宰治「それより、連れてきたよ。森さんが言ってた子供。」
玲side
太宰治「それより、連れてきたよ。森さんが言ってた子供。」
そういうと、黒いコートを身にまとっているお兄さんが僕を大人の人に差し出した。
森鴎外「やぁ、私は森鴎外、組織のボスだ。君の名前を教えてもらっていいかな?」
「、、玲」
森鴎外「玲君か、いい名前だね。あっちにいるオレンジ色の髪の子は中也君、あっちの君を連れてきたのが太宰君だよ。」
僕は二人を見る、太宰と呼ばれた男は、背に合わないぶかぶかの黒いコートを身にまとっている。
コートから覗いている首や腕には包帯がまかれていて、怪我をしている様子だ。
中也と呼ばれた男は、太宰と違って背が控えめで目つきが悪い、ヤンキーみたいだ。
中原中也「今失礼なこと考えてただろお前」
「、、別に」
森鴎外「まぁまぁ、落ち着くんだ中也君」
森鴎外と名乗った男は中也をなだめて僕に向き直る。
森鴎外「君、ポートマフィアに入るつもりはないかね?」