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他の実況者様々出てきます。
結構長い物語になってしまい
申し訳ございません🙇♀️
沢山のいいねありがとうございます。
フォロワーも気づけば50人もいて
嬉しいです。
本当にありがとうございます。
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廃ビルの高層階。
窓ガラスもない吹きさらしのフロアに、
二人の人影がいた。
──背中を壁に預け、片手で小さなデバイスを操作している。
その画面には、監視カメラではない、
“意識をなぞるような映像”
が淡く映し出されていた。
ー
キルシュトルテ、ふーん、とうとう記憶も
完全に戻って、力も目覚め始めたか
弐十、……よくやくか
ー
弐十が、肩をすくめて言った
ー
弐十、けっこう時間かかったね
てっきりこさめくんに殺されるかと
心配したけど
キルシュトルテ、だから最初止めたけど
まさかこんなことになるとはな
ー
キルシュトルテがニヤ、と笑う。
ー
キルシュトルテ、むしろさ──あの
“いるま”とかいう男。
あいつが近づいたおかげで、
どんどん依存してる。
これ以上なく、効率的な覚醒装置
ー
弐十が真顔で問いかける
ー
弐十、……本当に大丈夫なん?
このまま“いるま”くんに依存しすぎたら、
逆に制御が利かなくなるかもよ?
キルシュトルテ、問題ないっしょ
ー
きっぱりと言った。
ー
キルシュトルテ、そもそも“選ばれし者”
ってのは、依存しなきゃ能力は引き出せない
孤独な奴は壊れて終わる
誰かに執着してこそ、生きていける存在
なんだよ、あいつらは
ー
そしてキルは、画面から目を離さずに、
口の端をつり上げる
ー
キルシュトルテ、それにさ、やばくなったら──ニキたち巻き込んで、
強制回収すればいいだけだし
弐十、それ……また死人だすよ?
キルシュトルテ、出せばいいじゃん
ー
軽い口調。
けれどその言葉に、一切の冗談は
なかった。
沈黙。
風が強く吹き抜け、弐十の髪がふわりと
揺れる。
ー
弐十、……やっぱり、あんたこわいわ
キルシュトルテ、褒め言葉、ありがと
ー
キルシュトルテは淡く光る画面を見ながら、ぼそりと呟いた後防犯カメラを見る
ーー
いるま、…考えておくわ
暇72、あんがと
ー
いるまはなつを頭を撫でて
ー
いるま、お前やっぱ頭撫でられんの
好き だな
暇72、いるまだからッ//
ー
──ぱたん、と静かに閉まるいるまが
部屋からが出ていく
なつは、無言のままベッドに腰を下ろす。
指輪が光に反射して、
淡く紫色に煌めいた。
静寂。
だが、その瞳だけが“熱”を帯びていた。
ー
暇72、……全部、見えてるんだよな
ー
ぽつりと呟いたその声は誰にも
届かない──
届かないはず、だった
けれど、監視していた者たちの背筋を
凍らせるには十分だった
──その頃、遠く離れた観察室。
モニターの前、息を飲んだのは
弐十だった。
ー
弐十、……い、今の……口パク……
ー
彼は慌てて映像を巻き戻す
再生
モニターに映るのは、無表情のまま、
誰もいない空間へ向かって“言葉”を
吐くなつの姿。
ー
『……見てるの、知ってるからな』
ー
その瞬間
キルシュトルテの目元がぴくりと動いた
ー
キルシュトルテ、……
弐十、トルテさん……あれ……
完全にこっち見てた……
ー
弐十が椅子をきしませながら振り返る。
キルシュトルテはゆっくりと目を細め、
笑みでもなく、怒りでもない、**“警戒”**
という曖昧な色で呟いた。
ー
キルシュトルテ、──やっぱり、
あいつは”特別”だわ
弐十、……何か、変える?
いますぐにでも回収したほうが
ー
そう問うがキルは首を横に振る。
ー
キルシュトルテ、いや、まだ
俺らが“選んだ意味”がなくなるから
ー
けれどその声には、かすかに“抑えた
焦り”が滲んでいた