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──夜。アジトの小さなテラス。
ー
LAN、は?ッなんて?
いるま、だからあいつが記憶を
取り戻したんだよ
すち、ッ、そっか…よかった
いるま、らん悪かった、 お前らありがとな
こさめ、こさめなんもしてないけど
なりよりいるまくんが笑顔になって
よかった
いるま、ん?そんな顔悪かったか?
こさめ、なんかずっと悩んでる?っていうか鬼になってたから
いるま、お前なぁ?
LAN、まぁまぁ
みこと、もとかく、まニキが元気なって
よかったよ なっちゃんはどうするの?
いるま、……、そのことなんだけど
すち… 話したいことがある
すち、…、わかった
LAN、 こさめ、みことちょっと仕事
こさめ、え〜!せっさくの休みが〜…
いるま、(ないすLAN)
ー
LANたちが部屋から出て
冷えた空気が静かに2人の間に
流れている。
すちがコーヒーを渡しながら、
ふといるまの横に座った。
ー
すち、いるまちゃん、疲れてるね
ー
ふわっとした声で、
それでいて見透かすように。
いるまはカップを受け取りながら、
俯いたままぽつりと呟く。
ー
すち、で?話したいことって
いるま、……なつが、
“こさめを殺さなきゃ帰れない”って言った
ー
すちの手が一瞬止まる。
ー
すち、戻れないって…軍団のところだよね
いるま、ほんとは、ずっと聞こえない
フリ してた
でも、なつの目……本気だったから
元々こさめを殺すって依頼で俺等に
近づいただけで
すち、だから依頼が終わらないと
帰れないってことね
いるま、あいつ、俺を好きで、 でも“好き”の形がもう、普通じゃないんだ
ー
すちは黙って耳を傾けていた。
いるまが、続ける。
ー
いるま、すっちーが、こさめのこと
大事に してんのわかってる
だから、殺すなんて……絶対
許されねぇよな
でも……でもな、俺もなつのこと、
ほんとに、好きなんだよ
……どうすればいい?
すち、…こさめちゃんを、傷つける のは…俺が絶対に、許さないよ
ー
ゆるくて柔らかい言葉だったけど、
そこには絶対の決意が込められていた。
いるまは少し、肩を落とす
ー
いるま、やっぱり、そう……だよな
ー
だけど次の瞬間──
すちはそっと、いるまの肩に手を置いた
ー
すち、でも……
好きって、選ぶことじゃないって、
こさめちゃんに教えてもらったんだ。
大切にしたいなら、守りたいなら……
“どう守るか”を選ぶしかない
ー
いるまが顔を上げた。
ー
いるま、……どう、守るか?
すち、ひまちゃんを、ただ“引き戻す”
じゃなくて──
ひまちゃん自身が“選びたくなるような
居場所”を作ってあげるの
それが、きっと……いるまちゃんにしか
できない、守り方だよ
いるま、……っ、俺にしか……
ー
すちはにこっと笑った。
ー
すち、…いるまちゃんは、こさめちゃんを
傷つけないし、ひまちゃんも裏切らない。
……そう信じてるよ
ー
──言葉じゃなくて、“信じること”で
導く。
すちの答えは、そういう優しさだった。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
一室──
扉の外に立ちながら、ほんの少し
眉を寄せて。
ー
LAN、わりぃ 仕事の話うそ
みこと、なんだ〜よかったねこさめちゃん
こさめ、よかったけど、どうして嘘
ついたの?
LAN、いるま、だいぶ参ってるから
あいつの言うとうりにさせて
やろうかなって
みこと、なるほど
こさめ、ねぇ、らんくん……こんなとき
だから言うんだけどさ、なつくんの部屋さ
なんかちょっと……違和感ない?
LAN、違和感? 何が?
こさめ、空気っていうか……匂い?
ちがう……音かも……
ー
こさめはぽつぽつと話す。
ふざけるような笑顔はない、
ー
LAN、こさめがそう言うってことは、
なんかあるっぽいな
こさめ、なんか──ね。少しずつ、
部屋の中が“なつくん”じゃなくなってる
感じ……こさもそうだけど、
LAN、………わかった。気をつけとく