テラーノベル
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♡ありがとう。
ついに、断崖の頂に辿り着いた。そこには、月光を浴びて青白く輝く、一輪の水晶のような花が咲き誇っていた。冬桜だ。
a「綺麗……」
俺が息を呑んで手を伸ばそうとした瞬間、prちゃんの体が淡い光に包まれた。
p「ありがとな。俺をここまで連れてきてくれて」
prちゃんの声が、風に溶けていくように遠のく。
a「prちゃん? 何を……」
p「俺はあの日、あの谷底で死んだんよ。でも、akにさよならを言えなかった未練が、俺を『形』にして留めとった。この花が咲く場所まで来れば、本当のことが分かってまう。だから、俺は一人で来ようとして、失敗したんだね」
僕の脳裏に、隠されていた記憶が溢れ出す。
あの日、村に帰ってきたのはprちゃんではなかった。俺が「prちゃんが帰ってきた」と思い込み、空っぽの隣に話しかけ続けていた俺自身の幻想。
あるいは、prちゃんの魂が僕に見せていた最後の夢。
「もうええよ。akは十分、俺と一緒に冒険してくれた」
ハルの姿が、冬桜の花弁(はなびら)と一緒に舞い上がる。
必死に伸ばした俺の手は、冷たい空気を掴むだけだった。
コメント
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続きありがとぉ~