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「三宮、やっぱりお前、”そう”だったんだね」
そう、とはどういうことなのか。どういうことなんだと尋ねると、神山はこちらをじっと見つめて、言った。
「お前が、七瀬を好きだってこと。」
「…なんだよ、お前には関係ないだろ。俺がどうこうしたって、郁子はどうせ…
お前のことが、好きなんだから。」
神山は、郁子の彼氏だった。郁子に打ち明けられた時はぞっとした。
信頼されているんだという優越感と、自分じゃなかったという絶望が混ざって、きっと俺はあの時、変な顔をしていたに違いなかった。
今、俺はどんな顔をしている?
神山の手を自分の腕から外して、聞こえないようにため息をついた。
無言で俺は教室を去った。神山と、同じ空間にいたくなかった。
神山はきっと、俺の知らない郁子を幾度となく見たんだろう。彼女の髪に触れたんだろう。彼女の「好き」を貰ったんだろう。
想像するだけで、耐えられない。
海を、見つめる。
郁子がいなくなってから、一日が長い。
「知りたくないの?」
神山の声だった。なんであいつが…?
後ろを振り向くと、やはり神山が立っていた。
「なんで、七瀬が死んだのか。知りたくないの?」