「はあ〜、その手をどけろ。煩わしい」
もう溢れ出そうな涙を隠す為に、そうiоは吐き捨てて、イタ王様の手を取って、早々に、家を出たんね。
玄関扉をバタンッと音を立てて、家から出た瞬間、iоは膝から崩れ落ちたんね。
「あ”ぁ゙、どうしで、iоは、iоは、」
目元にある包帯は涙でびしょ濡れになり、染み込まなかった涙が溢れ出たんね。
「しっかりしろ。僕のドールでしょ?」
真剣にイタ王様がiоの顔を掴んで、そう言ったんね。いつもの特徴的な、語尾と一人称が消えてるのが、何よりも真剣な証拠なんね。
「立って。そして何も無かったかのように堂々と歩くの。僕のドールでしょ?あの、強くて格好良い王華はどこに行ったの?」
iоの右腕を掴んでイタ王様は引っ張り上げながらそう言うんね。「僕のドールでしょ?」イタ王様のこの言葉が何度も頭の中を駆け巡ったんね。
「確かに、私はイタ王様のドールだ。多くのものを制し、我が主を生涯をかけて守り抜く存在だ。姉である前に、貴方様のドールだ」
そう言うと、涙が引っ込んだ気がしたんね。後になって気付いたけど、この時、iоも特徴的な語尾と一人称が消えてたんね。
「いきましょうか」
そう言ってiоはイタ王様に手を差し伸べたんね。
「元の格好良い王華に戻ってよかったんね」
そうイタ王様は何の理屈も無い笑顔を向けてくれたんね。
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