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#心霊
#地下アイドル
#ブラックコメディー
#探偵
この部分を読んだら、あなたは「私が孤独のあまり頭がおかしくなったのではないか」と笑うかもしれません。でも、お願いです。嘘でも冗談でもありません。すべて本当のことなのです。
文書の記載によれば、異変が表面化したのは昭和三十年代の半ばのことでした。
当時、村の林業組合が山奥の天然氷室の周辺を伐採していた際、氷穴の奥深くから巨大な生物が姿を現しました。体長は二メートル半を超え、全身が濃い灰色の長い体毛で覆われ、太い腕と鋭い眼光を持つ――いわゆる「雪男」あるいは「未確認類人猿」としか呼びようのない存在です。
驚いた当時の村長と私の祖父(先代の宮司です)は、警察や行政に連絡しようとしました。しかし、もしこんな生物が発見されれば、世界中から新聞記者や研究者が押し寄せ、平穏な村の暮らしは壊されてしまう。そう心配した二人は、この毛むくじゃらの生物を「大蛇様のお供(眷属)」として極秘に手なずけ、保護することを決めたのです。
では、どうやって手なずけたと思いますか?
神通力でも、麻酔銃でもありません。答えは「干し柿」です。
我が村の名産である、秋に軒下に吊るすあの甘い干し柿。山から下りてきたその雪男に、祖父がダメ元で干し柿を放り投げたところ、雪男は大層気に入り、目を輝かせて貪り食べたそうです。
それ以来、雪男は山奥の奥社裏にある専用の祠で、歴代の神官の手によってひそかに飼育……いいえ、「お世話」されています。
信じられないでしょう? でも、本当のことなのです。
実は先週も、私は背負い籠いっぱいに昨秋の干し柿(冷凍保存しておいたものです)を詰め込み、奥社の祠へ餌をやりに行ってきました。
祠の闇の中からぬっと現れた巨大な毛むくじゃらの手は、私の顔を見るなり「ウフ、ウフ」と嬉しそうな声を漏らし、器用に指先で干し柿をつまんで口に運んでいました。毛並みは少し白髪が混じっていましたが、至って健康そのものです。食べ終えると、彼は私に頭を下げ、お礼代わりに山で拾った大きな松ぼっくりを一つ、差し出してくれました。
いま、私の部屋の机の上には、その雪男からもらった松ぼっくりが置かれています。
ですが、雪男の存在など、我が村の秘密のほんの序の口に過ぎません。
文書の核心であり、我が神社の最大の秘事。それは「光輝く大蛇」の真の正体についてです。
顕慶神職が目撃したという、八百年前のあの光り輝く大蛇。
古文書に挟まれていた図解と、近年の神職による解読記録によると――それは生物の大蛇などではありませんでした。
太古の昔、この空から墜落した「未確認飛行物体(UFO)」、あるいはそれが放出したエネルギーのプラズマ・フィールドそのものだったのです。
神職が見上げた夜空で、激しく発光しながら蛇行して旋回する謎の飛行体。地上に墜落した際の強烈な熱と衝撃によって、山々の岩盤が崩落して押し広げられ、奇跡的に形成されたのが、いま私たちが暮らしているこの「丸い盆地」でした。
そして、さらに信じられない事実があります。
その宇宙船――巨大な「円盤」は、いまもなお、我が神社の拝殿から地下数十メートルの岩盤の底に、動力を完全に切り切らないまま埋まっているのです。
私たちが「御神体」として拝んできた地下の巨大な空洞。そこには、赤く鈍く光る見たこともない金属質の巨大な球体構造物が鎮座しています。
初めて地下の御神体を見た夜、私は一睡もできませんでした。
この盆地をぐるりと囲む山々は、単なる地理的特徴ではありません。地下の円盤が発し続けている微弱なエネルギー場が、周囲の地磁気を歪め、一種の「見えないバリヤー」を作り出しているのです。
この村で携帯電話の電波が異常に届きにくかったり、テレビの画像がよく乱れたりしたのを覚えていますか?
あなたと電話をしていた夜、突然「ザーッ」という音だけになって切れたことがありましたよね。あのあと父は「今日は地下の力が強い」と言って、何事もないように湯呑みを置きました。