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#シークレットベビー
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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「す、すみません!」
我に返って、慌てて身を引こうとする。
「今すぐどき――」
「待って」
ギュッ、と。小森の手が、俺の濡れたシャツを掴んだ。
「……小森、さん?」
彼女はじっとこちらを見つめていた。
「この前の夜……」
「……はい?」
「ずっと手を繋いでくれたのに、何もしなかったですよね」
「……っ。それは、その……実家だったし、何より……大事にしたいからで……」
心臓が、これ以上ないくらい速く鳴っている。目を合わせる勇気がなくて、視線をそらしながら絞り出すのが精一杯だった。
けれど、彼女は掴んだシャツを離さない。それどころか、ほんの少しだけ、首を上に持ち上げた。引き寄せられるように、視線が交差する。
最初は触れるだけの、短いキスだった。けれど、それだけで、全身の血が沸騰したように熱が跳ね上がった。
窓の外を叩きつける激しい雨の音が、遠ざかっていく。濡れた服の不快感も、膝の痛みも、何もかもが頭から消えていった。
「俺、余裕あるふりしてるだけで……今、けっこう限界なんですけど」
彼女は少しだけ恥ずかしそうに、吐息が触れそうな距離で言った。
「余裕ない王子谷さんも、見たいです」
その日、記憶に残ったのは、窓を叩く雨音と、唇に触れた柔らかさと、腕の中にある小さな体温だけだった。
コメント
1件
ひよりさん、こんばんは。みぅです🖤 第244話、読みました……もう、心臓がうるさくて仕方ないです🥀 雨の音、濡れた服の不快感、全部が遠のくくらいの距離感、すごく良かったです。小森さんの「余裕ない王子谷さんも見たいです」って、あの台詞、本当に胸に刺さりました。ずっと大事にされてきたからこその信頼と、もっと近づきたいっていう彼女の気持ちが、真っ直ぐに伝わってきて。 限界だって正直に言える王子谷さんも、すごく好きです。余裕ない姿を見せられる関係って、きっと特別ですよね。今夜の雨、忘れたくない日になりましたね。🌙