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気がつけば、外から鍵が閉められていた。
「おおい!誰か!」
叫んだのだが、返事はない。どうやらはめられたらしい。いや、でも、
だとしても何のために?
螺鈿先輩は私を閉じ込めることで何の得を得るのか?
「やり方が乱暴になってしまって申し訳ないわ。」
外から声がして、その後解錠の音が聞こえた。
「な、何が。何のためにこんなことを。」
思わず部屋の端の方に私は後退りした。
「いいかしら、今日は休むのよ。」
「休むって?」
「学校を休むのよ。」
何を言っているのだろう。
「あんな、あんなのに私、負けませんから。」
そんなことを言いながらも、私の顔はひどく青ざめていた。血の気はひいていた。泥水の生臭い臭いと、腹に走る鈍い痛み、そして追い詰められた恐怖と彼らの狂った笑み。
「絶対、絶対に……私、あれくらいで屈しません!やります!仕事を今日もこなすのです。もう失うものもありませんから!」
魅麗ちゃん、そう呼びかけた後先輩は続けた。
「あなたは、全てを失いたいの?アタシのような抜け殻になりたいの?お願いだから、これ以上。これ以上アタシが苦痛は与えさせない。あんたがもし、これ以上傷つきに行くと言うなら、アタシはあんたを止める。殴ってでも止めてやるわ。アタシは……」
「アタシは、あなたを守る義務があるの。そして、この戦いを終わらせる義務があるの。この身朽ち果てても、アタシが終止線を打つ。そして、あんたたちの代には、平和な風紀委員会を取り戻す。アタシに歯向かうものは、たとえ身内でも、切り裂いてやるわ。」
けだもののような目をした先輩は、間違いなくアタシたちを苦しめてきた生徒会長・古林令羅に牙を剥いていた。でも、これ以上醜い先輩を見たくはなかった。
だから。
「先輩、あなたはもう、いずれ古株となる人間です。あなたはもう、終わりです。風紀委員会の名簿にもうじき名が載らなくなる人間です。だから、余計なことしないでください。私たちが風紀委員会を担います。先輩は、いい加減引き継ぎをしてください。」
その途端、般若のような顔をしていた先輩の、手から、顔から、全てから、血の気が抜けた。魂が抜けたようにして、彼女は、倒れ込んだ。
「先輩!」
「そうだよね。アタシはもう三年、大学さえ、倍くらい勉強しないと入れないのに。」
先輩の目から、光がなくなった。
「最後だもんね。だったらさ、最後くらい復讐させてよ。」
そう言うと、光がない目を細めて、彼女は笑った。
「今日は、あなたもアタシも学校を休みましょう。アタシがここまでに狂ったのは、碧波琉奏、彼が学校に来なくなったから。あいつにも、同じ苦しみを、味合わせてやりたいの。 独りで戦う苦しみをね!」