あの事件から数日が経った。まさか女王様に事情を話したらこれからここに住みなさいって言われるなんて……ルイは飛び上がって喜んでて女王様も満足そうな顔をしていたけれどついでに私がルイの婚約者にされちゃった!もうどうしよう!私はルイのことが嫌いじゃない。むしろ好き……かな////でもルイは私のことを好いている訳ではないと思う。恋愛的な意味で。
「エナ〜!お庭にお散歩しに行こ〜!お花が咲いていてとーっても綺麗だよー!」
ルイだ。考え事をしていたらルイが呼びにきた。可愛らしいけど本当はとってもカッコいいんだよな〜。あ、こ、が、れ、で、す。
「ええ、今行くわ。」
「2人が行くなら私もついていきます。」
「ええ、セバスチャンは来ないでいいよ。むしろ来ないで。」
「ガーン」
セバスチャンさん、ショックそう……
「エナと2人で話したいことがあるから来てほしくないんだ。ゴメン。」
「し、承知致しました。」
セバスチャンさんは渋々引き下がる。何だろう?話って。私とルイはお庭に向かって並んで歩き出す。そしたらルイが口を開いて不思議な質問をしてきた。
「エナは前世とか信じる?」
「え?」
「前世。変だと思うけど、僕、前世の記憶があるような気がするんだ。僕のお話、聞いてくれる?」
「もちろん……」
「ありがとう。僕ね、昔日本っていう国にいて日本人だったんだ。その時の僕は貧乏でもう全てに諦めていた。でもね。ある日、僕はボロボロの家のドアを開けたらこの世界とそっくりな場所に来たんだ。そこには同い年くらいの女の子が砂浜に座っていた。とっても可愛らしくて僕はしばらく見惚れていた。そしたらその子は僕に気付いてびっくりしたんだ。その子は逃げてしまうと僕は思っていたけれど逃げなくて、僕の側に寄ってきて話しかけてくれた。怪我してるけど大丈夫かって。その子は僕を心配してくれた。凄い高価そうなドレスを着ていてね。多分その子は貴族の子だと思う。彼女は、僕の手をとって話しかけてくれて一生懸命だった。」
「その時、騎士が僕の首を切り落とした。一瞬だった。その女の子の叫び声だけが残ってるんだ。」
うそ……まさかルイも前世の記憶があったなんて……でもそんなことより、私の見た光景と同じ。私は思わず叫んだ。
「ルイ!それって本当?!」
「うん、僕は嘘は言わないよ。」
まさか……
「ねぇ、その子って銀髪だったりした?」
「え、う、うん。そうだけど……何で知ってるの?」
ルイは不思議そうにきく。
「あのね、私も会ったんだ。日本人のボロボロの男の子に。でも、それは前世の記憶で……」
「エナ!それって!」
「「私たち前世にもう出会ってる?!」」
口を揃えて私たちは叫ぶ。ど、どどどどういうこと?!ルイと私がもう出会ってる?それって運命的な出会いみたい……!私があれこれと考えている時にルイは顔をズイっと近づけてきて
「あ、あのさ!エナって僕のことをどどどどどどう思ってる?!」
顔を真っ赤にしながら言った。えーーーー!!神様ふざけんな!!どういうこと?私はルイの事が好きに決まってるじゃない!あーもう!顔が熱くなってるのを感じる。よし!想いを言おう!
「も、もちろん、好きだよ。」
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーー!」
うわっ!どうしたの?勇気を出して言ったのにこんな反応ってあり得る?!ルイは呼吸を整えるようにして、
「よよよよよ良かった〜!ぼ、僕もね。エナの事が……」
ルイが何かを言おうとした時セバスチャンさんがやってきた。
「お二人ともが心配で……やはりやって来てしまいました。お話をしているのであればどうぞ続きを……」
セバスチャンさんの言葉をルイがさえぎった。
「セバスチャン!邪魔しないでよ!」
「???」
「だーかーらー!ちょっと、後数分で戻るからエナのドレスを用意して待ってて!」
ルイは子供のようにわめき散らす。あれ?私と同い年……むしろ歳上のように見えるけど……
「エナ。話の続きをしよう。」
ルイはそっと私の耳に口を近づけた。
「僕もエナの事が好き///」
うそ……!これは……両想いってやつ?!嬉しすぎる……!
「エナ。これから婚約者としても夫婦としてもよろしく。僕、もっと大人になれるように頑張るから僕をこれからもずっと支えてくれませんか?」
これはいつもの子供っぽいルイの目じゃない。ルイの真剣な眼差しだ。私はルイの手を取って、
「は、はい!」
と喜びに満ちた声で言った。ルイは私に抱きついた。でも、同時に何処かから、
「許せない……ササキエナ……」
なんて聞こえたんだけど、気のせい?ま、いっか!でも私はその時知らなかったのだ、この後とんでもない事件が起こるなど……