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みんなは宇宙人って信じるか? 俺は信じない派だ宇宙人はSFの定番で映画好きな俺が 幾度なく通った道だ、だが見たからこそあんな見た目の生物がいてたまるかって感じだし俺は見たものしか信じない主義である
あの時までは、信じていなかった
夜道。
バイト帰りのシンは、いつものように歩いていた。
その時――
視界が、途切れた。
「……は?」
足元が消え、重力の感覚が歪む。
気づいた時には、無機質な空間に立っていた。
金属の壁、脈打つように光るライン、そして窓の外に広がる宇宙。
「……っ、なんだよここ……」
「UFOだよ」
背後から声。
シンは反射的に振り向いた。
そこにいたのは、黒髪の男。
見覚えはない。
だが――普通じゃない。
「誰だお前」
「僕?南雲。君はシン君でしょ」
「……なんで知ってんだよ」
南雲は少し考えるように首を傾げる。
「えっと……データ?観察?んー……まあいいや」
軽い。
異常なほどに。
シンの警戒が一気に強まる。
「……ここに連れてきた理由は」
「うん、本題ね」
南雲は窓の外を指差した。
青い星――地球。
「これ、もうすぐ無くなるから」
「……は?」
一瞬、意味が理解できなかった。
「だから、消すの。僕たちが」
「……ふざけてんのか」
「ふざけてないよ」
即答だった。
感情が一切乗っていない声。
「業務。任務。えっと……なんだっけ、こういうの。あ、日本語……」
少し考えて、
「“しごと”」
と、ぎこちなく言った。
シンの拳が震える。
「……なんでだよ」
「なんで?」
南雲は本気でわからない、という顔をした。
「管理対象だから。不要なら消す。それだけだよ」
「……人がいるんだぞ」
「うん、知ってる」
「じゃあ――」
「関係ある?」
言葉が詰まる。
南雲は続ける。
「だってさ、虫とか潰すでしょ」
「……っ」
「それと同じ」
その言い方は、あまりにも自然だった。
悪意も、残酷さもない。
ただ“そういうもの”として話している。
「……お前、頭おかしいのか」
「よく言われる」
全く気にしていない返答。
シンは歯を食いしばる。
「……なんで俺なんだよ」
「坂本君の場所、知ってるから」
「……教えねぇよ」
「うん、別にいいよ」
南雲は一歩近づいた。
逃げ場はない。
「君、連れてけばいいし」
「……は?」
「拒否とか、意味ないよ。君、弱いし」
その一言が、静かに突き刺さる。
シンは睨み返す。
「……殺す気か」
「うーん」
少し考えて、
「必要なら」
と、あっさり言った。
「でも今は殺さないよ。案内してもらうから」
「誰が――」
「坂本君のとこ」
遮られる。
「君が案内しなくても、探せるけど」
一拍。
「時間、かかる」
「……」
「その間に地球、少し壊れるかもね」
淡々とした声。
脅しですらない。
ただの“事実”としての提示。
シンの喉が鳴る。
「……最低だな」
「そう?」
南雲は首を傾げた。
「これ、普通だよ。僕たちの」
そして、少しだけ言葉を探す。
「……“せいかつ”?」
発音が少しだけ不自然だった。
シンはその違和感に一瞬引っかかるが、すぐにどうでもよくなる。
「……坂本さんは関係ねぇ」
「あるよ」
即答。
「元ORDER。戦力」
「もう辞めてる」
「でも強いでしょ」
否定できない。
「だから連れてく」
「断るに決まってんだろ」
「うん、でも――」
南雲は笑った。
子どもみたいに、無邪気に。
「断らせない」
空気が、重くなる。
見えない圧が、空間を満たす。
シンの背中に冷たい汗が流れた。
「……っ」
逃げられない。
勝てない。
本能がそう告げている。
それでも。
「……絶対連れてかねぇ」
絞り出すように言う。
南雲は少しだけ目を細めた。
「へぇ」
興味を持ったような顔。
「んー、教えてくれないと、困るんだけど。」
「……」
「まぁいいよ、言わなくてもわかる方法は沢山あるから」
その言葉で、シンの中の何かが完全に切れた。
「坂本さんに近づくなよ!!何がしたいんだよ!?」
叫びがUFOの中に響く。
だが南雲は、ただ静かに見ているだけだった。
「坂本さんは今家族がいて楽しく暮らしてんだよ」
「うん、」
「……っ」
「でも坂本くんが、宇宙人ってことは変わらない」
沈黙。
圧倒的な温度差。
シンは拳を握りしめたまま、歯を食いしばる。
そして、低く吐き出す。
「……連れてってやるよ」
「お、ほんと?」
「その代わり」
顔を上げる。
「絶対後悔させてやる」
南雲は一瞬だけきょとんとして――
くすっと笑った。
「後悔……」
少し考えて、
「それ、まだ知らない言葉だな」
そして、シンを見下ろす。
「教えてよ、シン君」
静かで、空っぽな声。