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まったく思いがけないキスに硬直していたら、今度は徹はもっと私に距離を詰め
体を前に屈め私の顔を上に向けると、もっと深くキスをした
私は23歳で口にキスをされたのは、生まれて初めてだった
少し冷たくて、柔らかい徹の唇の感触は、不快ではなかったしかし、こんな道の往来で私の頭と心は混乱した
急いで徹から身を離すと怒りをこめて言った
「いきなり何も言わず失礼ですわ!こんなことをなさる権利はあなたには無いはずよ! 」
徹は面白そうに言った
「美鈴の言った通り、全くの温室育ちの無垢な白バラなんだな。キスをする前にいちいち断われというんですか?そんなことをしたらあなたはダメだと言うに決まってる、そうでしょう 」
私は頬を染めた指先が緊張と照れで震えている
「私が世間知らずな事ぐらい自覚しています。でも結婚のお約束をした後なら・・・そんなことは言いません」
徹は私の手をとった
「僕はてっきり断わられるのかと思ったんです。でも最近のあなたは、以前より俺に関心を持たれているように感じたんです」
徹は私に優しく微笑んだ
「あなたこそ・・・プロポ ーズなさったのだって、私には本当に思いもがけないことでしたから・・どうして私と結婚なさりたいのかも良く分からないんです」
彼が私に笑顔を向けて言った
「男がどうして女と結婚したくなるんだと思いますか?何も知らないぼくのバラ」
彼は私の手を取って言った
「愛しているからだと思いますけれど・・・・」
と私はまじめに答えた
「あなたは私を愛してなんかいらっしゃらないと思ってました」
「愛していないのにどうして僕があなたに結婚を申し込んだりするんです?」
「質問に質問で答えるのは狡いですわ」
私には彼言葉の意味がよくわからなかった。でもその時の私に愛というものが、どれほどわかっていただろう
私はおぼつかなく言った
「じゃあ・・・私達はこれで婚約したことになりますの?」
「そういうことですね」
徹は微笑みを崩さないまま、生真面目な言い方をした
そういうことで私達は婚約した