【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
ノイズキャンセリングされたイヤホンから、低く穏やかな声が耳に届く。
静かな声音に目を伏せると、全部の意識がそちらへ傾いた。
『ぎゅー、する?』
聞き慣れた声は、けれど自分に向けられたものではない。
『大好きだよ。…またね』
甘いセリフの後、それきり途切れる音。
静寂が戻ってくる。
伏せていた顔を上げて、俺は目の前のドアを見据えた。
横に備え付けられてあるインターホンを、苛立ち混じりに押す。
耳につけていたままのイヤホンは、半ば乱暴に外した。
そのまま雑にポケットに突っ込む。
やがて中からバタバタと物音がしたかと思うと、ドアが内側から大きく開かれた。
「ないこ? どうしたん、こんな時間に」
部屋の主は現れるなり目を丸くした。
「ちょっと片付けるから待っとって。今ちょうど配信終わったとこで…」
「聞いてたから知ってる」
短く答えながら、俺は靴を脱いで上がりこんだ。
勝手知ったる我が家のようにまっすぐソファに向かう俺を見やって、まろは少し首を傾げた。
「…なんかあった?」
「何が?」
問いに問いで返してしまってすぐ、「まずい」と思い直す。
これじゃ肯定しているようなものだ。
「なんもないよ、別に」
言い直した俺は、胸の内がバレないようにニコリと笑った。
「そう?」と訝しげに呟いたまろは、俺の傍に立ったまま隣の部屋を振り返る。
「ちょっと、機材だけ片付けてくる」
そう言って俺から離れ、隣室のデスクに向かおうとした。
その袖をクンと引っ張ると、まろは当然バランスを崩す。
予想していなかったらしい事態に、勢いよくソファになだれこんだ。
「ないこ、何す…」
「片付けるのなんか後でいいじゃん」
言いかけたまろの言葉に重ね、俺はその首に腕を伸ばす。
そのまま巻きつけるようにして絡め、戸惑ったような唇にキスを一つ。
「…何なん」
掠めるだけのキスを落として離すと、まろはどこか呆れたような…いや、心配しているような声を漏らした。
唇の端を持ち上げて笑みを浮かべると、盛大なため息をつかれる。
それからまろは何かを観念したかのように、俺の後頭部に手を回した。
今度はまろに唇を塞がれ、俺はゆっくりと目を閉じた。
「…っ」
ぱちゅぱちゅ、と水音が漏れる。
その煽情的な音は快楽と同時に適度な羞恥心を促した。
「声、我慢すんなよ」
耳元で囁きながら、まろは腰の律動を繰り返す。
段々と早くなるそれに耐えきれるわけもなく、息と共に声が上がる。
「あ…っ、ま、ろ…っ」
「…ないこかわいい」
俺の中に入ったまま腰を動かし、囁いた唇はそのまま耳を舐めた。
温かい舌の感触に、ぞわりと背筋を何かが這う。
それが快感だということはもう何度目かのこの行為のせいで分かっていた。
「耳弱いよな、ないこ」
ふっと吐息がかかる。
腰までビリリと電気が走ったかのような感覚に襲われた。
「…っそこで、喋んな…っ」
ただその声だけで、簡単にイキそうになる。
耳が弱いというより、まろの声に弱い。
低めで穏やかな声。
だけどあの配信の声とはどこか異質で。
不特定多数の「誰か」に向けられたものではないその声に、密かな優越感を覚えた。
「明日休みだっけ?」
ベッドの中、スマホの画面を確認しながらそう尋ねた。
行為の後で、ぐったりと横になった俺の髪を撫でながら「そう」とまろは返事をする。
「じゃあ俺もゆっくりしようっと」
家で仕事をしようかと思っていたけれど、たまにはしっかり休むのもいいだろう。
そう思ってまろにぎゅっと抱きつくと、苦笑いを浮かべたようだった。
「なんか今日めっちゃ甘えてくるやん」
言いながら頭を撫でていた手でぎゅっと俺を抱きしめ返すから、まろも相当甘やかしていると思う。
この関係が始まったのはいつからだったか…。
確かなのは、最初は俺が誘ったということ。
2人きりのときに甘えて、くっついてキスをした。
最初は驚いていたまろだけど、俺を受け入れてくれるようになるまで時間はかからなかった。
だって、分かってたから。
まろは拒めない、そういう優しいヤツだって。
だからその優しさにつけ込んだ。
毎日多忙すぎるくらい働きづめの俺を心配してくれるのは、きっとまろ自身が会社勤めをしていて、自分も仕事の大変さを身を以て理解しているからだろう。
不定期に…そしていきなり訪れる俺を、まろが拒んだことはなかった。
この関係が始まったとき、一度だけ約束をしたことがある。
それはどちらかに好きな人ができたらこの関係をやめること。
俺が出したその提案に、まろはやっぱり頷いただけだった。
俺が持ちかけた、俺しか得しないような提案をあいつは拒むことなく飲み込んだんだ。
だから、まろが誰か特定の人を好きになるまでは俺のものでいてくれる。
その優越感は不特定多数のリスナーへも向いた。
リスナーには感謝してる。
皆がいなかったら俺たちの活動は成り立たない。
でもそれとこれとは別で、まろのことに関してだけは独占欲が胸中を占めた。
まろが配信で彼女たちにどんなに「好き」だと言っても、その数分後には俺の上にいるんだって。
(…やば)
自分が歪んでいる自覚はあった。
だからこそ優越感と同時に罪悪感の波が押し寄せる。
このままだといつか狂ってしまうんじゃないか。
そんな心配を胸に秘めながらも、今日も俺はまろの腕の中で眠るんだ。
コメント
6件
このお話は他のサイトで見たことがないような気がするのはきっと私の記憶が飛んでいるせいですね…🤔 2つも投稿されるとは……控えめに言って最高すぎます、!!✨✨ 桃さんが青さんの優しさにつけ込んでしまう中での沢山の感情が第三者からなのに伝わってくるような気がします…、!😖💕 あおば様のあーるが含まれている作品はいつもの素敵な作品とはまた違う良さがあって大好きです!またまた元気を頂いちゃいました!
2本も投稿ありがとうございました🙏☺️ 桃さんは青さんが好き。青さんは…。青さんは本当にせ×れになりたいのか。否断れないだけなのか。 妄想が捗ります☺️💭 あおばさまの作品もあおばさまも 最高すぎて好きです🫶(( 無理しないで頑張ってくださいね💪
尊かった、、、、これからも頑張ってください!